PRIDE
PRIDEShow えー、司会を務めさせていただきます、Show大谷です。今日は第2回目の座談会ということでですね……。
榊原 何かタイトルをつけたほうがいいんじゃないの?
Show えー、では「ロード・トゥ・キャバクラ〜PART2〜」ですかね(笑)。
一同 シーン(沈黙)。
山口 お前、面白いこと言おうとすると、いつ何時でもスベるね。しかもいま代表が言ったのは、座談会そのものの大枠のタイトルのことだと思うよ。月並みだけど、『PRIDEの魂』、略して『プラたま』みたいなやつとかさ。
Show ああ、『PRIDEの砦』だとか。
PRIDE山口 そうそう。『PRIDEの闇鍋』とか『PRIDEの胆力』とかね。それじゃまったく面白くないし、別に「PRIDE」が付かなくてもいいとは思うけど。
Show あ、じゃあタイトルを募集しましょう!
山口 はい。募集しましょう! 前フリはこれくらいで、今日のテーマはなんですか?
Show テーマは「不条理とは何か?」という感じで……。
一同 シーン(沈黙)。
Show (慌てながらも強引に)ヒャッ!? まぁっ、あのっ、今日は8・28の大会を振り返って語っていただきたいんですけども。それよりも今回はビッグ・ゲストがいます。なんとPRIDEマドンナの小池栄子さんに参加していただきましたぁ!
山口 すばらしい! 
一同 パチパチパチ!
小池 (ニッコリと微笑み)ありがとうございます。
山口 ♪ざ〜だんかいへ〜、コイケエイコッ! 
ターザン しかし女性がいると言いにくいねぇ。なんかフライングできない感じがするねぇ。
Show それも意気地がない話ですねぇ。
ターザン いや、俺は弱いからさ、女性には……まぁいいや、進めてよ。
Show では先日のPRIDEを振り返って、まず山本さんはどうでしたか?
ターザン なぜミルコは負けたのか! その一点に尽きる! それしかないよォォォォ! いや、僕からしたら、なぜミルコの試合をメインに持ってこないのか、腹が立って腹が立ってね。だってミルコの試合が終わった時点で、観客は電圧がバーーッと下がっちゃって、メインを見る気力がなくなったというか。カメラマンの人たちも、あれをものすごい集中力で撮っていたので、その後の気力がなくなったんだもん。だからあの日はミドル級グランプリの決勝戦がセミで、メインがミルコの試合じゃないといけないんだよォォォォ!
榊原 いや、興行としては良かったと思いますけどね。偉そうなことを言うようですけど、僕はそれは計算づくだったんですよ。
山口 おおーーっ! いきなりカウンターが入りましたね(笑)。
榊原 みんながミルコに感情移入して、やっぱりミルコはかなわなかったっていう残念な気持ちを引きずった形で、お客さんを帰したくなかったんですよ。というのは、ヒョードルが勝つことは、もう2月にヒョードルがオランダに行った時点で読んでましたから。
ターザン ええっ! な、なにぃぃぃ!?
山口 ああ、たしかに2月くらいの段階で、ヒョードル有利と代表は言ってましたね。
PRIDE榊原 それと、ヒョードルは作戦通りに試合を組み立てましたよね。
ターザン いや、代表も無責任ですねぇ。(だんだん興奮してきて)でも、それは観客不在の論理ですよォォォォ! 榊原代表は、いまやPRIDEを私物化してますよォォォォ! 
榊原 いや、そんなことないですよ(笑)。
ターザン いや、僕もヒョードルは強いと思ってますよ。しかし、ミルコが勝つ可能性もあるかもしれない、あるだろう、という形で希望的・願望的観測で思ってる。そこを「2月の段階でヒョードルが勝つと思ってた」なんて、ファンに対する裏切りですよ! 僕と同じで、坊主になってもらわないといけないよォォォォォ!
榊原 いやいや、僕はお客さんの思いの先を予測して、どういうふうに8月28日の大会を見終わって帰ってもらうかを考える必要があるんですよ。もちろんミルコが勝つ可能性も、何十パーセントかはあると思いましたけどね。
ターザン 一応、可能性という意味では五分五分ですけどね。
Show 予想は8−2でヒョードルと思いながら、願望は8−2でミルコと思ってるのが、みんなの本音だったんじゃないですか?
榊原 2月の段階でヒョードルが勝つと思っていた要因の一つには、ミルコは右のハイキックを蹴れるのに、PRIDEに来てから左ハイしか出してないんですね。
小池 なんでミルコは右のハイキックを出さないんですか?
榊原 藤田(和之)戦以来、彼の総合の試合に対する戦略と勝利の方程式があるみたいで、タックルをいかにカットして、左ハイキックで仕留めるか、もしくはパンチにしても左のパンチを打っていくという。そういうミルコの方程式を、ヒョードルはキッチリ研究してきましたよね。
ターザン あの〜、ハッキリ言って、代表は技術的なことをわかりすぎですよ! もっと興行的視点から考えないと!
Show いったい誰に対して言ってるんですか!(笑)
ターザン だ、だってわかってないんだもん!
山口 まるで自分が格闘技興行界の首領みたいなアドバイスを始めたね(笑)。
ターザン ちょっと待て!
Show なんですか?
ターザン (まったく聞かずに)小池さんに聞いてみましょう! 
山口 今度は司会を始めた(笑)。
ターザン 小池さんは審判だよ、審判! いや、裁判長だよ、裁判長! 裁判長の判断を仰ごう! 僕と榊原代表のどっちが正しい?
小池 ウフフフ(微笑)。
PRIDE榊原 僕は、前回の桜庭vsアローナの後に持った哀しい思いみたいなものを、今回はファンの皆さんに持ってほしくなかった、というのが強かったんですよ。だから、正直に言うと、ミルコに対してそこまでの思いを賭ける気はなかったんですね。
ターザン だってミルコはヒョードル戦へのストーリーを自力でつくってきたわけでしょ? それに賭ける気がないというのは、代表はミルコを信頼してないってことでしょ。それは裏切りですよォォォ!
Show いや、山本さん! 代表はそれをわかった上でああいうマッチメイクと試合順にしたわけだから。で、小池裁判長! 裁判長はどう思ったんですか?
小池 ……(ポツリと)シウバが負けて哀しかったです。
山口 全然違う話題で来た(笑)。
Show ああ……そういう方法で来るんですね(笑)。
ターザン 小池さんもいいねぇ……自分のモノサシだけで生きてるよ!
小池 ええ。タレントは自分のモノサシだけで生きてますから。そういう難しいことは山口さんに聞いてください(笑)。
Show じゃ、もう一人の山口裁判長はどうでしょう?
山口 山本さんの言う「どっちが正しい?」という問いかけの意味がよくわからないので判決は、まったく下せません。というより興味ありません(笑)。それよりも僕が8・28に一番感じたのは、プロモーター・榊原信行の強運なんですよ。もしヒョードルvsミルコが予定通り6月に行われてたら、あのスケール感の大会の中で、今回僕らは、いったい何を見に行って、どういう思いを持って帰ってたんだろうと思うと、代表の強運を感じますね。
小池 あぁ〜、なるほど。
山口 6月に行われずに、夏の終わりのミドル級グランプリ決勝戦と抱き合わせで、しかも待ちに待った一戦がセミファイナルで行われた、という事実が榊原代表の強運を現してますよ! 狙ってやったわけじゃないにせよ、ヒョードルvsミルコ戦という大一番の持つ強度とモロさ。ゼイタクさとはかなさ。そういう二律背反するものが、偶然うまく絡まって立ち昇ったというか。この一戦がセミに置かれることで、他に比類なきイベントとしての厚みが出ましたよね。
ターザン いやあ、僕は逆なんだよねぇ。あの〜、ミドル級のグランプリ決勝とヒョードルvsミルコのヘビー級タイトルマッチを抱き合わせで、ダブルスタンダードでやったということが僕はダメだと思う! ワンイベント・ワンテーマで行くのが僕の考え方だから。
PRIDE山口 どっちかを集中して見たいという。その気持ちもありますよね。
ターザン ひとつに興味を集中させる。それを今回は二本立てで来たでしょ? こういうことは一本に絞ってやらなきゃダメなんですよォォォォ!
榊原 あの〜、山本さん、話の腰を折って申し訳ないんですけど、子供の頃から名古屋は映画でも二本立てなんですよ。
ターザン グ……ググッ(一瞬、沈黙)。
一同 【大爆笑&拍手】
山口 またもや、鼻っぱしらにカウンターが入りました、いま?(笑)。
榊原 フフフフフ。
ターザン (大興奮しながら)な、な、名古屋というのはド素人の街だねぇ! だから「名古屋飛ばし」という言葉があるんですよォォ! 田舎モンですよォォォ! 都会は一本立てで勝負するんですよォォォォォォ!
榊原 だから驚いたんですよ。映画を見ても、東京では一本しか見れないから、名古屋で見たほうがいいなぁと思ってね(微笑)。
ターザン 一本立てがインテリジェンスであり都会である証拠なんですよォォォォ!
Show でも、二本立てだからあれだけのイベントになったんじゃないですか?
ターザン ……わからん!
Show わからんって(笑)。
ターザン 人をたくさん集めてビッグイベントをするのが目的なのか、テーマを絞って集中してやるのかどちらを取るのかとなった時に、それはプロモーターというか、経営者の考え方の違いが出るんだよね。一本で贅沢にやる、という興味の持たせ方もあるんだよ。それを二本立てでやると興味を分散させてしまうからね。
榊原 それはホントにその通りだと思いますよ。
ターザン 小池さん、どう思います? 人生、二本立てのほうがいいですか?
山口 じ、人生? どんな大げさな質問なんだ(笑)。
小池 人生は一本立てのほうが好きですね。
ターザン やっぱり小池さんは都会の考え方ですよォ! 
小池 でも、名古屋はいい男がいっぱいいるので、二本立てでもいいかなぁ(微笑)。
山口 栄子ちゃんはまた、意味深な発言するよねぇ。
小池 名古屋の男の人は根性があるからいいですよ。
PRIDEターザン 根性がある?
小池 は〜い。あの〜、私はグランプリとヒョードルvsミルコの試合はとても満足したんですけど、それより吉田選手の試合と、もうひとつのヴェウドゥ?
山口 ファブリシオね。
小池 そのあたりの試合が、私としては今回はあんまり、しっくり来なかったですね。
Show ま、あの辺はメインデッシュの前に出る前菜と箸置きみたいな感じだからね。
山口 それくらい、みんなの興味のエネルギーは、ヒョードルvsミルコ、次にグランプリというふうに向いてたってことでしょうね。
PRIDEターザン でも俺だったら、今回は吉田を出さないで、ノゲイラvsアボットをやらせて、ノゲイラを見せることでお客さんに贅沢感を与えて、第1試合もハリトーノフの顔見せをしてってやったけどねぇ。 
Show 山本さんは、いっつも後出しジャンケンで好きなことを言うもんなぁ。
山口 僕の中でハッキリしてるのは、今回はミルコvsヒョードルを観に行ったんですよね。
Show あ、それは僕もそうです!
山口 僕の中ではミドル級グランプリは6月で終わってますから(笑)。でも、ファンがミルコvsヒョードルだけを観に来ていたか、というとそうじゃないと思うんですよ。
ターザン あの〜、僕は観客と同じ席で見ているのでわかるんだけど、大多数の観客が何を観に来たかというと、シウバとミルコなんだよね!
Show それはそうですよ。
山口 ミルコとシウバがPRIDEで紡いできた物語を観に来たんでしょうね。
ターザン シウバには、6月に桜庭をやっつけた憎いアローナに対して、桜庭の敵を討ってほしいというモチベーションで観てるし、ミルコにも勝ってほしいという二大テーマになってるんですよね。
Show いや、ミルコvsヒョードルというメインディッシュがあって、ミドル級の決勝戦という濃厚なデザートがあるんだから、あれでいいんですよ!
小池 (ボソッと)やっぱり一本立てのほうがいいかも。二本立てにしたことが……。
ターザン (遮って)そうでしょ? 気分がバラついたでしょ?
山口 山本さんが栄子ちゃんの発言を遮るほうが、気分がバラつきますよ(笑)。
小池 ウフフフ(微笑)。
山口 じゃあ山本さんは、8・28のPRIDEは不合格なんですか?
ターザン ……いや、合格ですよ!
一同 【大爆笑】
Show というか、かなり高得点の合格でしょ?
ターザン 90点ですよォォォォ!
Show 90点のイベントに文句ばかり言うっていうのはどうなんですか?
ターザン いやぁ、90点なんだけども、イベントというかエンターテインメントというのは、100点満点のパーフェクトを目指さなければいけないという形で問題提起をしてるんですよ。残りの3パーセント、5パーセントを完璧にしてほしいというね。だから今回は90点だけど、次のために言ってるんですよ! だから俺はあの日は大満足で帰りましたよォォォ!
一同 【大爆笑】
Show 代表! ホント申し訳ございません。こんなわけのわからんオッサンを呼んじゃって(笑)。
榊原 フフフフフ。
PRIDEターザン 確かにシウバやミルコが負けたことはショックなんだけど、あの会場に行った人間は、大満足で帰ってるんですよ、ホントは。でも、無い物ねだりをするのがファンだから!
榊原 もちろん、そうですね。でもホントにファンは貪欲ですからね。だからそこはホントに山本さんの言うことはよくわかりますね。
ターザン いや、今日わかったことは、格闘技の技術を榊原代表が細かく知りすぎているってことが、逆に言ったらネックだね。
PRIDE榊原 ネックですか? でも、PRIDEの場合は、試合の勝敗はプロモーターの手元にはないわけだから、神のみぞ知る領域なんですよ。ただ、プロモーターの立場としてどっちに勝ってほしいか、どう展開してほしいかっていうのは、先に繋げていくことを考えた時には、常に頭にあるんですよね。まだ8月の大会を終えたばかりですけど、当然、8月の大会前から10月、12月、もしくは来年のことを頭に入れながら、8月の大会に、「こうなってほしいな」っていう願望はあるわけですよ。
ターザン 格闘技というのは、実は非常に科学的で論理的な実力の測定場所だから、ほとんど答えというのは予想した通りになるんだよね。90パーセント以上は当たるよォォォォ!
榊原 それを読みながら展開していかないと、点を線に繋げられないですよね。
ターザン じゃあ代表がカードを組んだ時に、99パーセント当たるでしょう?
榊原 いや、けっこうハズれてますね(笑)。
一同 【爆笑】
ターザン いやぁ、しかし、その代表の言葉もなんというか、見事な裏切りだよねぇ(笑)。
山口 山本さんは、ミルコが勝つ確率は本当に五分五分だと思ってたんですか? 
ターザン いや! 俺はヒョードルが勝つと思ってた!!(キッパリ)。
Show さっきと言ってることが違うじゃないですかぁ!  ま、いつものことだからそれはいいや。
山口 でもね、マスコミ的にはミルコが勝つだろうという熱をファンに持たせることも大切な仕事だからね。マスコミには表の予想と裏の予想があっていいんですよ。それをまたファンが裏読みすればいいわけだし。必ずしも当てる必要はない(笑)。
Show そうそうそうそう!
ターザン いや、それはね、マスコミ的には本当はヒョードルが勝つと思っていても、ファンは願望とか希望を含めて観ているわけだから。興行的価値観として、ファンの、素人の価値観は重要だと、俺は言ってるわけですよ!
榊原 そうですね。そのファンの声援や願望を、試合当日の会場でミルコがいかに自分の力に変えられるかっていうのは、僕らの中では判断がつかないところじゃないですか。だからファンの力を活用して、ショーグンが今回、優勝したのかもしれないし。
ターザン (唐突に)あの〜、小池さんは、ミルコとヒョードルでは、タイプ的にどっちが好きなの?
小池 ヒョードルのほうが好きですね。
ターザン それはなんでですか?
小池 あのお腹が好きなんです!
山口 あ、体型の問題だ(笑)。
小池 はい。
ターザン ちょっとお腹が出てるよねぇ?
小池 ちょっと出てるほうが好きなんです(笑)。
ターザン あ、太めが好きなんですか?
小池 太めっていうか、男の人の、ちょっと油断した緩いお腹が好きなんです。
山口 ああ、“油断した緩いお腹”っていうのはいい表現ですね。山本さんなんか昔から油断しっぱなしですけどね(笑)。
山本 クゥ〜。
Show では、ヒョードルvsミルコをどう観たんですか、マドンナ的には。
PRIDE小池 う〜ん、実は緊張と興奮であんまり覚えてないんですよねぇ(笑)。テレビのOAでも見て、あらためてもの凄い試合だなっていうのはわかりますけど。
ターザン 代表! ヒョードルは最後の第2・3ラウンド、判定で勝ちを取りに行っているように見えたんだけど、あれはセコイよねぇ? 1ラウンドはミルコが勝ってたんだから。その後は、両者ともスタミナ切れになった時に、どうやれば勝てるかということをヒョードルのほうが考えましたよね。
榊原 試合後にミルコの周りの人に話を聞いたら、「第2・3ラウンド、ミルコはグランドになった時に、ホッとしてた」って言ってましたね。僕の目からは、第2・3ラウンドはミルコが闘うことを諦めてるように見えたんですよね。勝つことを諦めてたっていうか。だから「判定でいいや」って諦めてたのは、僕は実はミルコのほうだと思いますよ。
Show それは深い話だなぁ…。
榊原 それだけ、第2・3ラウンドは立ってることが辛かったんですよ。
Show でも、防御とはいえ、ミルコがあれだけ寝技に対応できるとは思わなかったですけどね。
山口 ミルコの寝技の対応の進化具合も凄いよね。それでも代表の言うように、勝負を諦めてた部分があったんだったら、あのミルコに勝負を諦めさせるだけの濃密さが、あの第1ラウンドにあったわけですよね。殺傷能力のある一発一発の応酬は、冗談じゃなく、まるで真剣での斬り合いですよ。
ターザン だからあれは、第1ラウンドがメインでしたよね。
榊原 そういうことですね。
ターザン 第2・3ラウンドはもうおまけですよォォォ! だからおまけを見せられたわけですよ、俺たちは。
Show いや、おまけは大事だよぉ! おまけを目当てでキャラメルを買ってたんだから(笑)。
ターザン それだけ第1ラウンドの攻防はダイナミズムに溢れて、もの凄い面白かったね! あれは宝ですよォォォォ!
山口 だから、なんであの第1ラウンドに集約される、ああいった濃密な闘いが産まれたのか。それが重要なんですよね。ミルコの描いてきたこれまでのストーリーだったり、ヒョードルの忸怩たる気持ちだったり、両者のマネージャーやチーム仲間や周囲の人の思いだったり、イベンターやスタッフの思いだったり、ファンの妄想や夢だったり、そういったことが見事に絡まって、あの第1ラウンドになってるわけだから。だからあれはミルコとヒョードルが闘ってるんだけど、格闘技が見せれるスケールの最大値や魅力を、言ってみれば、“共同作品”として、みんなの思いが立ち昇らせてますよね。
榊原 そういう中で、やっぱりヒョードルはチャンピオンとして信頼に値する男だなぁと、あの試合で思ったんですよ。2月に話をした時に、とにかくヒョードルはミルコと試合をすることを先延ばしにしたかったんですね。できれば大晦日でもいいと思ってたんですよね、2月に話をした時点では。そこを僕らは6月に前倒しする交渉をしてたんですけど、4月に怪我をした。でも僕はあの怪我をした高阪戦でも、ワザと確信犯的に自分の拳を痛めるが如く殴ってたんじゃないかと(笑)。それはミルコ戦を先延ばしにするためなんじゃないかって思ってたんです。
ターザン そこまで深読みをしてたんですか?
榊原 ええ。
ターザン それはヒョードルが逃げてたということ?
榊原 というか、ヒョードル曰く「1日でも多く、チャンピオンでいたい」って。
小池 へえ〜〜〜。
Show 凄ぇ発言だな、それは!
榊原 だから「6月よりも8月、8月よりも10月に」って。いや、ヒョードルは「体調を考えると、できれば10月に」って言ってましたね。だからこっちはヒョードルに「ミルコとの試合は、ひょっとしたら8月でも旬を逃してしまうかもしれない。そこがギリギリ。6月じゃなくても、最悪でも8月じゃないと」っていう話は、2月の時点でしてましたよ。ヒョードルっていうのは、ああ見えても戦略的で、相手を読むんです。だからこっちの言葉から“あ、ミスター・サカキバラは、8月でもいいと思ってるな……”とヒョードルは思ったんじゃないかと思うんです。そう考えたら、僕は「あ、言葉を間違えたな」と思ってね。「6月じゃないと困る」って言えば、ひょっとしたら6月でできたかもしれない。そういうやりとりがあったから、試合はしたとしても、ヒョードルは負けるつもりで来るかもしれないな、って思ったんですね。でも逆に、そこまで自分のペースを守って試合を決めたわけだから、しっかりと準備をして戦略を立ててくるんじゃないかな、とも思ったんですけどね。だから、実際に試合を見て、ヒョードルは信頼に値するチャンピオンだな、と思いましたけどね。
ターザン その話を聞く限り、なかなかロシア人特有のというか、クセのあるところをヒョードルは持ってるんだねぇ。
山口 リングに上がった時のあのヒョードルの身体を見た瞬間に、ミルコはヤバイ! と思いましたけどね。4月や6月に来日したときと全然違う、シェイプされたカラダつきで、ミルコ戦に対して本気も本気、超本気モードで来てることが、これまた緊張感を高めましたよね。
榊原 確かに、来日した時に、あの顔を見て「いい準備をしてきたな」と思いましたね。
ターザン ……う〜ん。
Show どうしたんですか、山本さん?
ターザン いやぁ、ヒョードルはあれでいいのかねぇ…?
Show ど、どういうことですか?




〔意味深なターザン山本!の言葉! その真意は…!? 次回の座談会、栄子ちゃんの「ちょっと油断した緩いお腹が好きなんです」の言葉を噛み締めて待て!〕
PRIDE

左から
小池栄子
PRIDE中継ではゲスト解説を務める。総合格闘技についての造詣の深さは、専門家からも一目置かれるほど。11月20日生まれ、さそり座のAB型。
山口日昇
「世の中とプロレスする、マット界の総合誌」を標榜する『紙のプロレスRADICAL』の編集長。誌面上では「鬼畜」とも呼ばれているが、独自の視点とプロデュース能力を評価する声も多い。
ターザン山本!
元『週刊プロレス』編集長。常に「観客主体」の視点でマット界を斬り捨て、求心的なファン、いわゆる“ターザンチルドレン”を数多く育てた。反面、そのストレートな物言いに団体関係者からはしかめ面をされることもしばしば。
最近は永年の不規則かつ強引な生活がたたり、カロリー計算をしながら食事を取る日々を送っている。

“Show”大谷泰顕
闘想家(漫画家・車田正美先生命名)。本座談会のアドバイザーも務める。話題の東京10区在住。
現在『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて好評連載中のPRIDE公認漫画『Pound for Pound』では、原案協力を務めている。
榊原信行代表
総合格闘技イベント「PRIDE」を運営する、
このPRIDEオフィシャルサイト座談会は、PRIDEを観る側にもっともっと熱を持ってもらいたい、という代表の考えがきっかけで始まった。