リングに上がれば1対1、格闘技は個人競技だ。しかし、さらなる強さを求めていくと一人の力では勝てなくなる。ファンの応援はもちろんだが、後押しやサポートをしてくれるセコンドや練習でのトレーナーや仲間などが重要な力となってくるのだ。つまり、チームの存在が大きなものとなってくる。この特集ではその「チーム」にスポットを当て、強さの秘密に迫っていきたい。シュート・ボクセ・アカデミー、GRABAKAに続いての登場は、ダン・ヘンダーソンの二階級制覇達成、脅威の新人ソクジュの登場とまさに飛ぶ鳥を落とす勢いのチームクエスト。チームのリーダー格ライアン氏に話を聞く。
ダンやランディーがMMAに本腰を入れたのは2000年から
――チームクエストが結成されたのはいつですか? 結成時のメンバーは?
「1999年か2000年くらいかな。以前は違う名前で、ダンとランディー(・クートゥア)が新しくチームをスタートさせる時にマット・リンドランドも加わった。それがチームクエストの始まりかな。その時はオレゴンのカーディーラーの裏にジムがあって、ヒーターやクーラーといったまともな設備が何もなかったんだよ。それから設備を充実させていって、ようやく去年カリフォルニアにジムを開いたんだ。みんなカリフォルニアを拠点としていたからね」
――チームクエストが出来たばかりの時の話を、もう少し教えてください。
「その頃ダンはオレゴンに住んでいて、ランディーと2000年のオリンピックへの出場を目指してトレーニングをしていたんだ。彼らはまだレスリングに集中していて、MMAのトレーニングに本腰を入れ始めたのは2000年のオリンピックの後からだったんだよ。それからマットも参加するようになって、特に彼は00年のシドニーオリンピックでシルバーメダルをとった後だったから、とてもいい刺激になった。でも、カーディーラーの裏で大した設備もないところだったから、練習できるのは数人だけだったな。
2001年にダンがオレゴンからカリフォルニアに引っ越してきてから6年間、僕らは高校でトレーニングをしてたんだ。サンドバッグもなしでね。でも去年、僕らは全ての環境を変えたんだ。あのままでは成功に向けて進めないと分かっていたし、数々のチャンピオンシップで勝てないからね。だから、“今まで僕たちがやってきたことは素晴らしいけど、このままでは僕らがしたいことにはつながらない”と勇気を持って立ち止まり、分析する必要があった。それで、高校のレスリングルームでやっていた、専門家なしでのトレーニングを辞めたんだ」
■ダンはUFCのトーナメントで優勝した時、MMAの練習はしていなかった
――ランディーとはどうやって出会ったのですか?
「僕たちは全員、アマチュアレスリングを通じて出会ったんだ。僕がダンとヒースと出会ったのはアリゾナ州立大学の時で、ランディーともアリゾナで出会った。彼はその頃、サンキスト・キッズという団体でトレーニングをしていたんだ。1993年か94年頃だったから、昔から互いによく知っている。MMAがだんだん人気が出てきて、ダンとランディーは闘う機会を得られてよかったよ。それがあって、今があるからね」
――ダンが最初にMMAで闘ったんですか?
「ランディーが最初だったよ。彼はUFCで、オファーからわずか2週間で闘ったんだ。ダンも、確か97年か98年だったと思うけど、本当に直前のオファーを受けてブラジルオープンで闘ったな。MMAのトレーニングもしていなかったし、スパーリングをやったこともなかったのにね。ほとんどの人が知らないと思うけど、ダンは98年にUFCのトーナメントで優勝するまで、MMAのスパーリングを一度もしたことがなかったんだ」
――全くスパーリングしてなかったんですか?
「本当にクレイジーだよ! ダンはいつも自然に強いパンチが打てるんだ。レスリングでも、ダンはヘッドロックして投げて相手をノックアウトしていた。どんな理由にしろ、彼は信じられないくらい強く、そしてそのパワーを手に伝えることができるんだ。それもたやすくね」
■ソクジュはもともと素晴らしい才能の原石を持ち合わせていた
――才能のある選手をチームからスカウトしたりしているんですか? それとも選手たちからチームクエストに集まってくるんでしょうか?
「ありがたいことに、才能ある選手がチームに来てくれている状態だね。だけど僕たちが積極的に動いて、いろんな人と出会い、才能ある選手を見つけ出すことも必要なんだ。ソクジュがいい例だけど、彼はもともと素晴らしい才能の原石をたくさん持ち合わせていたんだ。彼は3〜4年かけていくつかの異なるジムにいって、本当にいい技術をいくつか身につけることが出来ていたんだけど、残念ながら誰一人として彼の持つ才能・技術を一つにまとめ上げることができなかった。だからまさにいま、僕たちがそれをやっているところなんだよ。
日本人の長南亮は、僕たちのビッグ・サポーターだよ。もう4〜5回は僕たちのトレーニングに来ている。他にもジェイソン・ミラーをはじめたくさんの人がチームクエストに来てくれるけど、僕たちは若くて才能のある選手を探しているし、彼らのゴールを達成させる手伝いをしたいんだ」
――選手の積極的なスカウトは、これまでしていたんですか?
「6ヶ月前に始めたばかりだよ。このジムをオープンして、僕たちはチームを大きくしようと考えた。そのためにはいろいろな分野のエキスパートを招き入れる必要があったんだ。だからショーン(・トンプキンス)とソクジュをチームに入れたんだ。チームクエストは今、次の世代のファイターを育成している。僕たちは、自分たちの間違いを認め、受け入れることを恐れない。過去の間違いからしっかりと学習したいんだ。どうやったらより進歩できて、より強いチームになれるか。世界一の素晴らしいスタッフたちと生み出したシステムで、若いファイターたちに教えているんだよ。このジムを見てくれればわかるけど、ここよりいい場所は多分ないと思うよ」
――チームクエストでファイターになるには何が必要ですか?
「最終的には、“ハートを持っていること”に行き着くね。『本当にファイターになりたい』と、強く思っていることだ。その次に、才能が必要だ。多くの人がファイターになりたい気持ちを持っているけど、それだけではチームクエストのファイターにはなれない。それが現実かな。もしあなたが30歳で経験が全く何もなかったとして、そこから凄いファイターになれるかい? たぶん、無理だと思う人が多いはずだ。もし若くて、貪欲で、ある程度経験があるのであれば、僕たちは喜んで一緒にトレーニングしたいね」
――カリフォルニアのチームクエストのメンバーは、ランディーがいるオレゴンのジムでもトレーニングをしているんですか?
「カリフォルニアとオレゴンを、いつも行ったり来たりしてトレーニングしているよ。2つに分かれているけど、1つの大きなユニットだからね。だから、もし誰かがトレーニングパートナーを必要としていたり、プロモーターがファイターを必要としていた時には、一緒に協力しあっているんだ」