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PRIDE
 リングに上がれば1対1、格闘技は個人競技だ。しかし、さらなる強さを求めていくと一人の力では勝てなくなる。ファンの応援はもちろんだが、後押しやサポートをしてくれるセコンドや練習でのトレーナーや仲間などが重要な力となってくるのだ。つまり、チームの存在が大きなものとなってくる。この特集ではその「チーム」にスポットを当て、強さの秘密に迫っていきたい。今回は、昨年のウェルター級GPで三崎&郷野が大活躍し、注目を集めたGRABAKAの総帥・菊田早苗に話を伺った。
PRIDE
――2006年はウェルター級GPにおいてGRABAKAの大躍進があったじゃないですか。練習の時も活気がありました?
「いや、そんなことはないですよ。いつも通りですね。前から変わらないし、みんながみんな同じことをやってるわけでもないし。三崎なんかアメリカ行っちゃっていないこともあるし、寝技ではなく打撃のジムばかり行ってることもありましたよ」
――GRABAKAに83kgで日本の強い選手が集まっている状況はなぜだと思います?
「言われてみればそうですけど、たまたまなんですけどね。昔は、みんな体重が同じくらいだから階級や出場する大会を散らばせないと、と思ってたんですけど、83kgで強いチームとしてやっていくのも面白いですね」
――別々の団体に出て、それぞれトップを取るとか?
「最初は“誰々がいるから階級を変えなきゃ”という意識でやってたんですけど、自然にこうなってしまったので、それもいいかも。僕がUFCに行ってもいいと思うし、みんながいろんな所に上がってそれぞれトップを狙うのもいいと思う」
――強くなったのは菊田さんの指導能力が優れているからですか?
「いやいや(笑)。たまたまみんな目的意識がけっこう強いので、それがいい方向へ行ったと思います。あまり変なのがいないというか、たまにそういうのがいてもおかしくないんですけど、一人ひとりの練習とか試合にかける意識や目標が高いので、自然と強くなったんでしょうね。その中でひとり結果を出せば、あいつと同じ練習しているんだから俺も、と意識が勝手に上がっていくんです。その象徴だったのが郷野と三崎。今度は佐々木(有生)が“何で俺はこんなポジションにいるんだ”と奮起して、急にボーンと上に行くかもしれないし」
――菊田選手は自分のスタイルとか闘い方を押し付けるタイプではないですよね?
「そうですね。例えばダンヘンならチーム・クエストでレスリング系で、こんな感じで練習してるだろうっていうのがあると思うんですよ。でもGRABAKAは全くバラバラなんです。凄く作戦を練ってるとか勝つためにこんな練習をしてるんだろうとかよく聞かれるんですけど、実は全くバラバラ(笑)。各自が勝手にやってます。でも目的意識は一緒とか、そういう感じじゃないですか」
――それは菊田選手が統制をとっているからでしょうね。
「いや、まあ……そうですね(笑)。僕も前までパンクラスに出てる時とかは、自分でGRABAKAを引っ張ってきて一人で苦しい部分もあったんです。でも今は三崎がPRIDEのチャンピオンという大きいものをとったので、しばらくは三崎にGRABAKAを引っ張って欲しい。だけど、次は誰か分からない。もしかしたら、佐々木かも石川(英司=DEEPに出場)かもしれない。三崎時代が続くかもしれない。そして、自分もその中で、自分のペースでやっぱり負けていられないというのがあるし。全体的に底上げされた感じがします。そういう意味ではラクになった感じはしますね。PRIDEチャンピオンが出て、GRABAKAっていうのは本当に日本のトップチームで、全員が強いんだっていうことが証明できましたね」
――いろんなジムがあるのに、特にGRABAKA勢が優秀な成績を残せるのはなぜでしょう?
「え〜、何なんですかねぇ。その辺はやっぱり縁なんですよ。知り合って、たまたまなんですよねぇ。たまたまみんな仲がいいので、例えばどこかに移籍したとかそういうのもないし、みんな練習に関しては真面目ですからね。言わなくてもやるし。たまたまそういうのが集まったんですよね。もの凄く大げさな表現をすると、例えばビートルズはポール・マッカートニーとジョン・レノンとジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、なんでこんなにいい音楽を作る人たちが集まったのかというと、それはたまたまの縁なんですよ。たまたま知り合って、一緒にやっただけという。それに理由はないですよね。けっこう新しいトレーニングの方法とかを、どんどん摂り入れていくのはみんな好きですね。それはひとつの理由かもしれない」
――ひとつの型に押し込めない、と?
「そうですね。練習時間も特別に長いわけじゃないんです。ただ、その中でみんながレベルアップして、レベルアップした者同士が合同練習しているわけですから、やっぱり強くなりますよね。それは去年の二人の活躍があるから何となく分かるんですけど、GRABAKAというのは“自分事”なので、どうと聞かれてもよく分からないんですよね。他の道場とどこがどう違うと言われても、他の道場も活躍していると思うし。自分の所はあんまり見えないですよ」
――GRABAKAとしての2007年の目標は?
「うーん……チームという意味では吉田道場とかU-FILEとか、日本だとそう数がないじゃないですか。海外だとトップチームとシュート・ボクセ、その他にもチームとして活動しているのがいっぱいありますよね。でも、まず僕がパウロとやりたいので、トップチームとの対抗戦をそのカードを軸に作ってもらうしかないですよね。さんに(笑)」
――GRABAKAの力は見せたから、次は個人の実力を見せたい?
「そうですね。前回の武士道では、三崎、郷野、自分と3人が出た。石川も復帰したし、佐々木も横田(一則=DEEPに出場)も山崎(剛=同)もPRIDEに上がってくる可能性はありますから。昔パンクラスのリングで対抗戦をやって制圧したとかやってましたけど、今度はPRIDEのリングで対抗戦なりが出来ると面白いですけどね」
――GRABAKAのメンバーって本当に仲がいいですよね。あれだけ強い選手が多ければ、我の強いのがいそうなものですが。
「それはですね……なかなか選手の間同士では見えない部分があると思うんですけど、そこら辺は年上としての自分の役割かなと(笑)。やっぱり言うところは言わないと仲がよくてもバラけてしまう部分はあるし、意見を聞いて取りまとめて改善していかないと。細かいところでの自分の役割として、ちょこちょこポイントで話しをしたり、選手が気付かないように自分ではやってるつもりなんですけどね。全体的には自分が目立たないところでスッとみんなを乗せているというか。と、自分は勝手に思っています(笑)」
――細かい技術を教えてうんぬんではなく、上手くまとめるにはどこがポイントかを抑えているんですね。
「今まではどうしてもまず団体があって、選手とは関係のない気持ちを持った団体の人がいるわけですけれど、自分は選手なんで。選手がこれをやられたら腹が立つとか、これは絶対に駄目だとか、そういうのがあるんですよ。自分も選手なので、他の選手(のマネジメント)で食べていこうという気はないわけだから、そこは自分がある意味で中心、自分で生きていこうと決めているので。フロントと選手が分かれていると溝が出来てしまう部分があって、選手で食べていこうというのが団体にはあるでしょう。変な話、僕は選手にいいようにやってもらいたいというのがあるので、こじれようがないんです」