PRIDE
Part.1 - Part.2 - 最終回
 あまりにも突然だったフジテレビの放送中止というアクシデント。地上波放送を失ったPRIDEはどうなるのか? 日頃からPRIDEを取材し続けている専門誌の方々に集まっていただき、今回の事件に関する姿勢や、今後PRIDEがどうしていくべきかを話し合っていただいた。
PRIDE
<出席者>(写真左から)
「格闘技通信」田中宏和
「ゴング格闘技」安村将史
広報局局長 笹原圭一
司会/「GBR」熊久保英幸
「kamipro」ジャン斉藤
地上波放送中止=PRIDE衰退はない!?
――明るい話題としてあるのが、『週刊ファイト』『ゴング格闘技』に書いてあった、アメリカ進出に賭けるという話です。これがPRIDEにとって活路になるのではないか、と。
PRIDE笹原 アメリカでは今、UFCが大きな人気を呼んでいます。先日のUFCでもホイス・グレイシーが何十億円のファイトマネーを手にしたという報道がありましたが、それは大げさにしても、実際にそれだけのポテンシャルはあるんです。UFCのPPV視聴世帯は20〜30万件あると言われていますけれど、それでも相当な利益がある。それに単価の高いチケットも売れていますし。つまり、一興行だけで大変な利益があるんですよ。今までは、外国人選手にとって日本はまさに“黄金の国・ジパング”でしたが、もうそうとばかりも言ってられなくなりましたね。とにかくアメリカは市場規模がでかいですから。
kamipro そうなると、トップファイターを全員持って行かれる可能性も出てくるわけですね。
笹原 それぐらいマーケットが膨らんでいるんです。今回の事件がなくても10月のラスベガス大会は決定していたので、PRIDEがアメリカで活動していく足がかりはあります。日本ではPRIDEの地上波があるかないかという現時的な問題がありますが、世界に目を向けるともっと大きな格闘技界の地殻変動が起こっているので、それにPRIDEも乗り遅れないようにしないといけませんね。
――例えばロック系のアーティストなんかもそうですが、地上波には出ないけれどCDは売れる、ライブは超満員という実例があるわけです。閉ざされることによって見たいという願望が沸き、ファンクラブやインターネットで情報を求めるファンもいるんですよ。PRIDEもこれだけ地上波で見せられて、いきなりそれがなくなるわけですからみんな見たいでしょう。……少なくとも今の熱は1年くらいもちますよ(笑)。1年もてば地上波も復活するでしょう?
笹原 1年あれば楽勝でしょう!!(笑)
一同 おおっ!!
PRIDE笹原 PRIDEというソフトに関しては、みなさん興味ありますから。地上波で間違いなく数字の取れるソフトだと分かっているわけですから、むしろ今がチャンスだと思っている人は多いでしょう。
格通 話は変りますが、PPVって天候に弱いじゃないですか? 昨年の『男祭り』の時に、雪の影響などなのでしょうが、肝心の結末が見られなかったっていう苦情が意外と多かったんですよ。結末が見られなかったから詳しい結果を教えてくれ、とかよりによって元日に(笑)。PRIDEの場合、GPのパックセットは別にして、1回の購入では再放送の視聴ができませんから、毎回その不安があるなら、購入をちょっと考えるっていう人もいるかもしれませんね。PPVを購入する方は録画もして保存したいでしょうし、会場で観て盛り上がり、家に帰って録画したのを見直す方もいるでしょうし。
――いや、いいんですよ! それで地上波がなくなるということで、雑誌が売れるんですよ! 速報号の時代がまた来るんです。速報号が急に売れなくなった時代があったんですよ。それは、地上波が始まってからなんです。
PRIDE格通 もちろんそうですけどね(笑)。
笹原 絶対に売れますよ!
kamipro ウチも7月7日に初の速報号を出しますからね、地上波がなくなった途端に。この売り上げで1年間くらいもたせようかな、と(笑)。
ここまで下がったイメージをどう回復するか
PRIDE
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――まあ、それは冗談として話が脱線しましたが、今回PRIDEに求めたい対応っていうのは何がありますか?
kamipro 公開会見で反社会的勢力との付き合いはないということでしたが、明らかにイメージが問題なので、ここまで下がったイメージをはこれからどう回復していくのか、その策を一番聞きたいですね。
――潔白を証明するのが一番ですよね。
笹原 有罪を証明するのは証拠を提出するのが一番ですが、無実は違うじゃないですか。無実の証拠ってどれだけ提出しても、きりが無いじゃないですか。時間もかかるし。今はそういう状況ですね。僕らは黒い交際はしてませんと言うしかない。それ以上何を説明すればいいのか、何を説明すれば納得してくれるのか分からない。本来なら、有罪だと言っている一部週刊誌の人たちが、「こういう動かぬ証拠があるんですよ」とやるべきなんですよ。それがないままに、勝手に裏も取らずに垂れ流し続けてることの方が問題なんです。
kamipro 先走った報道が続く中で、いちいち細かい対応をしていくのは難しいと思うんですが、いまはこのまま耐え凌ぐという感じですか?
笹原 いま思えば、最初に週刊誌の記事が出たときにきちんと反論して、法的手段に訴えておけばよかったのかもしれませんが、何の根拠もない事実無根の記事だから、しばらく我慢していれば風化するだろうと思っていたんです。それが異常なまでに連載が6週も続いて、結果的にこういう状況を招いてしまったことに、広報という立場では非常に責任を感じますね。
格通 5月3日にPRIDEの象徴といわれた桜庭選手が移籍するという大事件が起きて、その1ヵ月後にはまた今回のことがありましたから、やっぱりファンの信頼を落としたと思うんです。大きな不安も与えてしまったわけですし、これを元に戻すのは相当大変だとは思いますが。
kamipro そうすると、次のGPのインパクトが問われると思いますね。この前の『ハッスル・エイド2006』に“高田総統の戦う化身”であるザ・エスペランサーが登場しましたけど、あれって「何があろうとハッスルし続ける!!」という制作側の答えだと思うんです。そうじゃなきゃ切り札中の切り札を、何の予告もなく切るわけないですし。最大の危機が訪れているからこそ全身全霊でハッスルしたあの覚悟を、PRIDEなりの表現方法でGPでも感じたいですね。
笹原 こういう時はジャンルを背負う人間が現れるんですよ。それが本当に象徴になったりするんです。ある意味、選手にとってはチャンスだと思います。
ゴン格 先日の公開記者会見時に、藤田和之選手と吉田秀彦選手がファンやマスコミの前でコメントを発しましたが、あの発言を聞いた限りでは「俺たちがこれからPRIDEを守る」というニュアンスが含まれた言葉に聞こえました。その場で2人の対戦カードが発表された時にファンから一斉に歓声が上がりましたが、その反応を聞いて本人たちもより一層気持ちが引き締まったところがあるでしょう。だから無差別級2回戦での彼らの闘いにはかなり期待していますね。
格通 出来れば若い選手がいてくれれば、というのはありますよね。20代の選手でPRIDEを背負ってくれる選手が出てくればいいんですけれど。
笹原 カズ選手なんかは中尾選手の会見の時に珍しく怒りを表に出していましたが、あれは彼なりに危機感を感じているから、あの発言をしたのでしょう。あれはカズ選手のPRIDEへの愛情というか、PRIDEの背負い方なんだと思います。
格通 カズさんは普段からPRIDE以外のリングには立つ気はない、と言ってますからね。
笹原 その思いをファイトに昇華させる姿を、当然ファンも期待しているでしょう。そして我々裏方に出来ることは、どれだけ熱を持ったイベントを創れるか、その一点に尽きると思います。
PRIDEを見たいのか、見たくないのか?
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ゴン格 そういった意味でも7・1はカギですね。
――ファンもPRIDEが好きだって言うのなら、リング上を見るべきなんですよね。そういう外部の情報に惑わされずに。
笹原 『PRIDE.26』なんかは、先代社長の森下が亡くなって“PRIDEはどうなるんだ”という雰囲気の中で行われましたが、そういった空気をまさしく試合内容で吹き飛ばしましたからね。
格通 あと、ファンのためにも、カードをもうちょっと早く発表するというのもありますよね。難しいのは重々分かりますけど、やっぱりカードが未定という中でチケットを買うって、勇気がいることだと思います。それは出場する選手にとっても重要なことだと思いますし。
――逆にファンに聞いてみたいことはないですか?
kamipro 聞きたいことはとくにないんですけども、ちょっと無責任な言い方かもしれませんが、あえてこの緊急事態をぜひ楽しんでほしいですね。「PRIDEとは何か?」を考える絶好の機会にはなりますから。
ゴン格 ファンの人が選手の試合を観て感動したい、選手の生き様を学びたい、と思うのであれば会場に足を運んでそこで“何か”を感じ取って欲しいですね。ウチらマスコミも選手と触れ合うことで刺激になることはたくさんありますし。
格通 こう言ってはなんですが、7月1日は黙っててもお客さんは入ると思うんですよ。地上波で見られないわけだし、黙ってても盛り上がるだろうと。だからむしろ、武士道を見たいという人が、今後どれぐらい出て来てくれるかという方が、意外と大事なんじゃないかな。やっぱりまだ武士道の世界観が伝わりきっていない部分があると思う。でも、武士道って実際、凄く面白いじゃないですか。日本人選手の活躍という“分かりやすさ”もあるし、この熱は伝えないともったいないですよね。しかも次の武士道は名古屋じゃないですか。正直、動員に苦戦することも予想できる中、名古屋に日本全国から人が集まるのか、それともPPVの契約件数が凄い伸びるのか…これはまだ分かりませんが、ぜひそうあってほしいです。PRIDEが本当に大事だ、必要だと思う人には、出来れば名古屋に来てもらいたいですし、来られなかったらPPVで見てほしい。それがダメなら、私たちの三誌をみんな買ってほしい(笑)。
――こういうピンチの時だから、今まで大小ならずPRIDEのリングでの試合に勇気をもらった、元気になった、感動したという人がいるんだったら、今度はそれをPRIDEのリングに返してあげて欲しいですね。今がその時でしょう。PRIDEが見たいのか、見たくないのか。見たいんだったら応援しようよ、と。
PRIDE笹原 ファンの方たちは本当にありがたいですね。フジテレビの件があった後、茶化したりする電話も多いだろうと思っていたんですが、頂いたのはほとんどが激励の電話でした。事務所の下で泣きながら待っていて、「頑張ってください」と声を掛けてくれたファンの方もいますし、わざわざ差し入れを持ってきてくれた方もいます。そこまでしてくれるなんて嬉しいですよね。本当に勇気をもらえます。6月8日に開催した公開会見も、前日に告知してあれだけのファンが平日の昼間に集まってくれたんですよ。そして、あの時に来てくれたファンのお陰で、吉田選手と藤田選手にもスイッチが入ったと思います。本部長は最初からスイッチが入っていましたが(笑)。
kamipro 本部長のスイッチの入り方というか、腹のくくり方には、ちょっとたじろぎましたね。地上波中継打ち切り直後のブログでは、「榊原代表をはじめ、PRIDEの社員の皆さんには申し訳ないが、実のところ私は、なんだか楽しくてワクワクしてきたのが、本音中の本音なのだ」って書くぐらいですから(笑)。あと藤田和之の腹のくくり方も凄い。トレーニングで渡米した直後なのに、公開記者会見出席のためだけに帰国して、その会見が終わってまた渡米して、その足でメカ化したマルコ・ファスとトレーニングしてるんですよ。こんな選手や関係者がいるんですから、次のGPだけじゃなくて、今後の展開もなんだか楽しくてワクワクしてきたのが本音中の本音です(笑)。
――あと、地上波が主導だった『男祭り』には影響がないんですか?
PRIDE笹原 別に地上波なしでも『男祭り』は出来ますからね。むしろ、地上波の制約がなくなったからこそ、出来ることもあると思いますよ。
――ああ、より純粋なPRIDEが見られるという部分もあるんですね。
笹原 そうです。本部長が仰っていた「いつものPRIDEの風景」が見られると思います。
――とりあえず7月大会を見てくれ、という感じですか?
笹原 安心してください。PRIDEは微塵も揺らいでいません。
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PRIDE無差別級グランプリ2006 2ndROUND 関連情報