「闘争心が薄れているんですよね…」試合前日、五味は不安を過ぎらせるようなセリフを口にした。「ちょっと試合感覚が空きましたからね。僕自身、やってみないと分からない。まあ、会場入りしたりゴングが鳴れば、動けると思いますけどね。間隔が空く事は今までもあったけど、昨年がよく出来すぎたので、貪欲な気持ちがどれだけ残ってるか…」五味自身も不安のようだ。
昨年、PRIDE武士道に参戦して以来、5戦5勝5KOと破竹の快進撃を続けてきた。しかし、激闘の疲れか満足感か、五味はしばらくリングから離れたのだ。「また、闘いたくなったら戻ってきます」の言葉を残して。
そして、今大会で五味は帰ってきた。「そろそろベルトが欲しくなってきた。GPの優勝を狙います」と新たなモチベーションを持ってだ。しかし、試合前日に出てくる言葉は前述のように弱気な言葉ばかり。アゼレードに対しても「アセレードの動きはカポエラがちょっと入ってる気がしますね。だからどうって事じゃないですけど、変則的なところがあるので、喰らってしまう事もあるかも。そういう不安材料も多いですね」とやはり不安を口にする。
それでも、五味は最後に言ってくれた。「結局、強いヤツが勝つんですよ」。
そんな五味とは逆に、シュート・ボクセが絶対の自信を持って、打倒・五味に送り込んだ刺客アゼレードは「俺は五味よりもアグレッシブだし、柔術のテクニックもムエタイのテクニックでも、全てにおいて上回っているファイターだと思っている。彼が俺に“圧勝する”と言ったんだって? 彼がそう言うのなら、その力を出してきてくれよ」と余裕の表情。チーム・メイトであるヴァンダレイ・シウバからは「五味を必ずKOして来い。顔面を踏みつけて頭を潰して来い」と指令を受けたという。
新生・武士道の命運を左右すると言っても過言ではない、メインイベント。これまでの熱闘を受け継ぎ、五味が見事、しめる事が出来るか。五味は言った。「武士道を引っ張っていくのなら、イベントの主役は勝負どころを落さないのが鉄則」と。この勝負どころを決めるか落すかで、五味の“エース”としての真価が問われる一戦だ!
アゼレードは道衣の上を着て、黒いマウスピースを覗かせながら入場。五味のテーマ曲が鳴り響くと、場内は一気にヒートアップ。黒いショートガウンのフードを被り、自らのテーマ曲を口ずさみながらの入場だ。リングインすると、場内を一望する。