PRIDE 武士道 -其の七-
2005.05.22 有明コロシアム
PRIDE
第10試合1R10分、2R5分
1R 3分46秒 KO(スタンドでのパンチ)
「闘争心が薄れているんですよね…」試合前日、五味は不安を過ぎらせるようなセリフを口にした。「ちょっと試合感覚が空きましたからね。僕自身、やってみないと分からない。まあ、会場入りしたりゴングが鳴れば、動けると思いますけどね。間隔が空く事は今までもあったけど、昨年がよく出来すぎたので、貪欲な気持ちがどれだけ残ってるか…」五味自身も不安のようだ。
 昨年、PRIDE武士道に参戦して以来、5戦5勝5KOと破竹の快進撃を続けてきた。しかし、激闘の疲れか満足感か、五味はしばらくリングから離れたのだ。「また、闘いたくなったら戻ってきます」の言葉を残して。
 そして、今大会で五味は帰ってきた。「そろそろベルトが欲しくなってきた。GPの優勝を狙います」と新たなモチベーションを持ってだ。しかし、試合前日に出てくる言葉は前述のように弱気な言葉ばかり。アゼレードに対しても「アセレードの動きはカポエラがちょっと入ってる気がしますね。だからどうって事じゃないですけど、変則的なところがあるので、喰らってしまう事もあるかも。そういう不安材料も多いですね」とやはり不安を口にする。
 それでも、五味は最後に言ってくれた。「結局、強いヤツが勝つんですよ」。
 そんな五味とは逆に、シュート・ボクセが絶対の自信を持って、打倒・五味に送り込んだ刺客アゼレードは「俺は五味よりもアグレッシブだし、柔術のテクニックもムエタイのテクニックでも、全てにおいて上回っているファイターだと思っている。彼が俺に“圧勝する”と言ったんだって? 彼がそう言うのなら、その力を出してきてくれよ」と余裕の表情。チーム・メイトであるヴァンダレイ・シウバからは「五味を必ずKOして来い。顔面を踏みつけて頭を潰して来い」と指令を受けたという。
 新生・武士道の命運を左右すると言っても過言ではない、メインイベント。これまでの熱闘を受け継ぎ、五味が見事、しめる事が出来るか。五味は言った。「武士道を引っ張っていくのなら、イベントの主役は勝負どころを落さないのが鉄則」と。この勝負どころを決めるか落すかで、五味の“エース”としての真価が問われる一戦だ!
 アゼレードは道衣の上を着て、黒いマウスピースを覗かせながら入場。五味のテーマ曲が鳴り響くと、場内は一気にヒートアップ。黒いショートガウンのフードを被り、自らのテーマ曲を口ずさみながらの入場だ。リングインすると、場内を一望する。

第9試合1R10分、2R5分
2R 2分04秒 TKO(サッカーボールキック)
 「ミノワ?あの襟足を伸ばした、赤いビキニパンツのゲイ野郎のことか!?あんな気持ち悪いヤツと組み合うつもりなんてねえ。パンチで秒殺だ」NYのバッドボーイ、フィル・バローニは、そのニックネーム通りのバッドボーイぶりを発揮した。10代で始めたボディビルで鍛え上げられた肉体と、倒すか倒されるかのファイトスタイル、そして観客を常に楽しませるショーマンシップは、まさにプロレスラーだ。「PRIDEは俺が世界最強を証明するためのいいチャンスだ」とニヤリと笑った。
 今回も美濃輪ワールドは試合前から爆発していた。公開練習では遊泳禁止の海で激しいスパーリングを繰り広げ、行楽客が見守る中、岬の先に立って「リアル・プロレスラーだ!」と叫ぶと、「時空を越えたフューチャーな試合をしたい」と語った。試合直前のインタビューでも「”瞬間”を見て欲しい。試合時間が長くて短くても、瞬間・瞬間をスローモーションで見たい」と語った。
 バローニは真っ赤なガウンに大きなサングラス。入場曲を口ずさみながら、たっぷり時間をかけての入場だ。対する美濃輪は日本の国旗をマントのようにまとい、入場曲に合わせて小さく拳を振り降ろす。そして入場曲の盛り上がりに合わせて、その拳を一段と大きく振って客席を煽ると、花道からバローニを鋭く睨みつけて、トップロープを飛び越えてリングに上がった。

第8試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
 いまや世界中から狙われる立場となった長南だが、本人はその立場を楽しんでいるかのようだ。「今まではこっちから強いヤツを指名していたけど、今では向こうから指名してきてくれる。こんなラクな事はない。一人残らず、ぶっ殺す」とワクワク感を隠せない。今回の対戦相手、ニーノは桜庭と1勝1敗の戦績を残し、“柔術界のファンタジスタ”と呼ばれる業師でもある。「ニーノは今回、初めて自分のウェイトに近い体重で試合をする。シュート・ボクセに移籍して1年経つし、今までのニーノとは違う。初めて本当の実力が出ると思います」と、長南も警戒。
「寝技に付き合うつもりはない。徹底して打撃で勝負する」という長南だが、パウンドは通用しないだろうと予想する。「ニーノは異常なまでに足が利く。あれだけ足を動かされると、パウンドを防がれるし、深追いするとオモプラッタで返される恐れがある」と分析。
 寝技には一切付き合わず、立ち技一本で勝負。しかし、「ニーノの寝技よりも打撃のほうで警戒するところがあるんですよ」とも。「ハイキックとかヒザ蹴りが意外と強いし、変な間で打ってくるから気をつけないともらってしまうかも」と警戒を強める。
 一方のニーノはこの試合に備え、ペガトローシャという新しい絞め技を開発してきたという。「グラウンドでは確実に私の方にアドバンテージがある」というニーノだが、シュート・ボクセで磨いた打撃を試したいようだ。「今回は関節技で一本を獲るよりも、長南をKOしたい」とうそぶく。
 ニーノはいつものようにエルビス・プレスリーの曲で、柔術衣の上だけを着用して入場。口元に微笑を浮かべている。長南は真っ白なガウンのフードを被っての入場。時折、鋭い眼光を覗かせる。リングインすると、大きなサークルを描いてリング上を一周。
 なんと、ニーノは道衣を着たままだ!

第7試合1R10分、2R5分
1R 3分28秒 TKO(タオル投入)
 修斗の現役世界王者がPRIDEに参戦!格闘技界の注目が集まる中、PRIDEのリングに上がる川尻だが「やることはいつもと一緒。今まで自分がやってきたことを出せれば、お客さんを沸かせることだって出来る。(修斗では反則の)サッカーボールキックもやってみたい」と、プレッシャーよりもPRIDEという舞台を楽しんでいる様子だ。4月の修斗福岡大会から日がないものの、懸念された拳のケガも「思いっきり殴られる」と順調に回復した。クラッシャー&強烈な打撃が見られることは間違いないだろう。また修斗の現役王者としてPRIDE武士道に上がることに意味があるという川尻。「PRIDEに負けない熱い試合が修斗にはある。PRIDEのリングで修斗の素晴らしさを見せていきたい」川尻はそれが世界王者の使命だという。それと同時に「強いヤツと戦いたい。自分がいないところで世界一を決めてもらっても困る」と、修斗の世界王者の強さを証明することも自らの使命だと言い放った。73kg以下のトップに君臨する五味との対戦など、川尻の参戦によって一気に活性化したPRIDE武士道。参戦記者会見で言ったビッグバンを起こすことが出来るか?
 そんな川尻の対戦相手に選ばれたのは韓国KPWの王者、キム・インソクだ。韓国の合気道ハッピキドーで、格闘家としてのキャリアをスタートさせ、空手やキックボクシングを習得した、打撃格闘家だ。川尻の打撃を見て「荒い。力に頼りすぎている」とバッサリ。川尻の相手とては役不足という見方も多い中、その打撃で一矢報いたい。
 川尻は腰に修斗のベルトを巻いて入場、会場を大きく見回して、大きくうなずいた。

第6試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
 パンクラスから独立し、その第一戦目となるGRABAKA。先陣を切るのは切り込み隊長・郷野だ。急なオファーだったが、大将・菊田早苗の「グレイシーと闘える機会はそうない」とのアドバイス、さらに「グレイシーを倒せば分かりやすい勲章になる」との考えから出場を受諾した。
 前回の武士道出場では、今をときめくショーグンと対戦した郷野は、「PRIDEのファンは格闘技を分かっていない。ボクシングでも見て勉強しなさい」と罵倒したが、今回はいたって謙虚。ビッグマウスは試合が終わるまで封印するという。今回、郷野が磨いてきたテクニックはボディワーク。パンチをヘッドスリップ、ウィービングといった身体を動かす事によってパンチをかわすテクニックだ。「無理してKOなんて狙わない、判定上等ですよ」と豪語し、「クラウスレイの打撃は俺に触ることも出来ない」とまで言う。
 その郷野発言に対して、「自分は先制攻撃を身上としている。彼の打撃に対しても巧い事は巧いと思うが、恐怖心はないね」と鼻で笑い、「彼がどんな技を出して来たとしても、それは全てトレーニングの中でやった事のあるものばかりだと思うよ。恐れるものは何一つない」と郷野の打撃に対しての警戒心などまるでない。さらには「1Rで極めてみせる。今回はハイペースな試合を見せたいんだ」と、“1Rで一本勝ち”を予告した。
 郷野のフットワークのスピードは日本でも屈指のもの。その郷野を1Rで仕留めるというクラウスレイ。郷野の打撃か、クラウスレイの寝技か。総合格闘技の最も分かりやすい図式であり、原点の闘いともいえる対決が繰り広げられる。
 キャップを被り、25歳とは思えぬ落ち着きぶりのクラウスレイ。郷野はオリジナルテーマで、こちらも落ち着いた表情。両者はリング中央で向かい合うと、真正面から睨み合いを展開した!

第5試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
 本物の桜井”マッハ”速人がPRIDEのリングに見参!これまで適正ウエイトよりも重い83kgで戦うことで、本来の動きが出来なかったマッハ。しかし今年に入って、アメリカ、マット・ヒュームの元でトレーニングし、食事療法も取り入れ、73kgまで体を絞り込むことに成功した。公開練習では絞り込まれた肉体を披露し、コンディションの良さを感じさせた。またアメリカ修行では、寝技の技術を中心に新たなテクニックを見につけたという。さらに試合前のインタビューでは、度重なる対戦相手変更に対して「膝が痛いとか風邪引いたとかで試合を休むくらいなら、一生アマチュアでやってろ。二度とプロのリングに上がって来るなよ。馬鹿にすんなって」と怒りを爆発させた。「世界最強を取り戻すんじゃない。今でも自分が世界最強だと思ってるし、それを証明するだけ」とマッハはPRIDEのリングへ向かった。
 昨年、ノゲイラが使ったことで一躍脚光を浴びたスピニングチョークを、2年前から使っていたのが、このミルトン・ヴィエイラ。ノゲイラはがぶりの状態から極めた技も、「上からでも下でも、どんなポジションからでも極められる。僕の得意技だ」と自信タップリに語る。13、4歳からムエタイを始め、ルタ・リーブレ、柔術を学び、ブラジリアン・トップチームへと辿り着いたヴィエイラは「ブラジルにはPRIDEに戦いたいと思っている若い選手」はたくさんいる。その選手たちに『頑張れば夢は叶う』『目標は達成出来るんだ』ということを見せたい」と語る。「ブスカペの分まで戦う」とヴィエイラ。無念の負傷欠場となった親友ブスカペの思いも胸に、ヴィエイラはリングへ向かった。
 マッハは入場曲も『不死身のエレキマン』から一新、セコンドにはマット・ヒュームの姿も見える。修斗時代の盟友・佐藤ルミナがリングサイドで見守る中、木口先生の激励を受けマッハがリングに上がった。

第4試合1R10分、2R5分
1R 6分00秒 KO(ハイキック)
「PRIDEは俺の場所」と言い放ち、プロ転向を表明した小見川。柔道時代から寝技を得意とし、総合格闘技に興味を持っていたという。プロデビュー戦にあたり、ボクシングの協栄ジム、シュートボクシングのシーザージムに通って打撃を強化。寝技は吉田道場で磨きをかけた。「初めてなので、ドキドキワクワクという感じで凄く楽しみ。緊張感は柔道の時の方がきつかったですね」と、さすが柔道の国際試合という大舞台を経験してきただけに、強心臓ぶりを窺わせる。
「動きまくる試合をやりたいですね。時間を目いっぱい使って闘いたい」という小見川は、打撃特訓に自信を付けたのか「思い切り殴りつけたいですね。得意になったパンチもあります。内緒ですけど」と“殴る”宣言。吉田からは「一、二発もらう覚悟で接近戦で行け」とアドバイスをもらったという。
 小学生から柔道を始めた小見川に対し、ライリーはなんと16歳から総合格闘技の試合を行っている大ベテラン。その立場から考えると、「俺がルーキーに総合格闘技を教えてやる」ぐらい言ってもいいものだが、「キャリアは確かに僕のアドバンテージになる。しかし、それが試合の勝敗を決する要素とはならない」と慎重だ。立ってよし寝てよしのコンプリートファイター。「ファンが喜ぶようにと、常にファンの事を考えて闘うファイターだと思っている」と言い、「どちらかと言えばスタンドが得意かな。ボクシング、ヒザ蹴りが特に得意だね。10歳から空手を始めて、テコンドー、柔道、柔術、キックボクシング、レスリング、ボクシング…ほとんどの格闘技を吸収してきた」という。
 総合格闘技の教科書とでもいうべきライリーと、柔道エリートの大物ルーキー小見川。小見川は「判定とかなし。負けるにしてもスコーンと負けますよ。自分がこの世界で天下を獲る」と豪語。キャリアの差を見せ付けてライリーが圧勝するのか、それとも小見川が衝撃のデビューを飾るのか。注目の一戦、いまゴング!
 ライリーは両手を挙げて入場、キツイ目をしてリングを見上げる。小見川は柔道衣を着て入場、まさに狼のような鋭い表情だ。セコンドには吉田秀彦が着く。そして、リングインすると柔道衣を脱ぎ捨てた!

第3試合1R10分、2R5分
1R 4分36秒 アームバー
今年2月にDEEPウェルター級王者のベルトを巻いた三島だが、TAISHOの打撃を封じ込めた、いわゆるグラウンド&パウンド中心の戦い方は、観客を魅了したとは言い難かった。それは三島自身も認めているところで、「あの時はどうしてもベルトが欲しかった。TAISHOには悪いけどああいう戦い方になってしまった」と、試合後に話している。しかしそれと同時に三島は「次からはハウフと戦った時のように、アグレッシブで動き回るスタイルを取り戻す」と力強く宣言。身辺整理も済ませ、100%練習に集中できる環境を整えた。UFCでトップコンテンダーに上り詰めた、総合格闘技界屈指のストライカーであるイーブス対策として、キックボクシングジムへの出稽古を敢行。後藤龍治と共に、総合格闘家が多く集まるRIKIXにも出向き、小野寺力ともスパーリングを行った。しかし決して打撃戦を挑もうというわけではなく、あくまで勝負はグラウンド。三島は「テイクダウンすれば楽勝。そこまで持ち込めるが勝負」と、試合展開を読んでいる。
 PRIDEではイマイチ結果が残せていないUFC勢だが、今回73kg以下級制覇に向けて、送り込まれてきたのがイーブス・エドワーズだ。ハイキックに代表されるように、総合格闘家でもトップクラスの打撃を誇る。しかし当の本人は「総合格闘家はキックやボクシングの技術を知らなすぎる。だから相手の苦手な分野で戦っているだけさ」と話す。これまで日本人選手に分が悪いものの、キャリアが少ない時代にトップファイターと戦ったことが原因だ。「自分はテイクダウンされても、抱きついてブレイクを待つような試合はしたくない。僕は常にKOを狙うアグレッシブなファイターなんだ」とイーブス。やはり勝負の鍵を握るのはスタンドの打撃になるだろう。
 忍術の経験のあるイーブスは、UFCのテーマに乗って忍者のコスプレで入場。対する三島はスヌーピーのぬいぐるみDEEPのベルトを持っての入場だ。客席から三島コールが起こる中、ゴングが鳴った。

第2試合1R10分、2R5分
1R 1分00秒 KO(スタンドでのパンチ)
大晦日で五味に敗れたパルヴァーは体格とパワー差を感じ取り、この5ヶ月間を肉体改造に費やした。そして、「パンチにパワーを増し、あえて大きな相手とスパーリングを続けた事で自信も沸いた」という。TAISHOの“殴り合いたい”発言については、「望むところだよ。受けて立つ。何の問題もない」と余裕綽々。「以前の僕は勝つ事だけに集中して、時にはゆっくりとした退屈な試合をやっていた。でも、今はもっとエキサイティングな試合をやりたいと思っている」と試合に対する考え方も変わり、“ニュー・パルヴァー”をアピールした。
 また、インターネットで流れた右肘脱臼の噂については完全に否定。生まれ変わった“パルヴァライザー”(削岩機)が狙うのは、五味へのリベンジだ。「絶対に五味と再戦したい。そのために実績が必要というのであれば、一人残らず全員倒してやる」と自信を覗かせた。かつてUFCで無敗を誇り、“最強”といわれたパルヴァーが帰ってきた。
 一方、武士道初参戦となるTAISHOは「僕が一番尊敬しているB.J.ペンに勝った選手なので、尊敬している」とパルヴァーをリスペクト。「パンチが強い相手に対しても、自分から中に入っていってパンチで仕留める。僕の理想とするスタイルです」とも。しかし、対戦するとなれば話は別だ。インターネットを通じてファンに呼びかけ、パルヴァーの試合ビデオを集められるだけ集めて研究したという。柔術家でありながら、柔術になる前にパンチで相手を倒したいというTAISHO。
 打撃戦は必至。復活を賭けるパルヴァーか、それとも大物食いを目指すTAISHOか?
 先に入場したパルヴァーは、真っ赤に染め上げたモヒカンにして登場。前日のインタビューを受けた時の柔和な表情は消え去り、勝負師としての厳しい表情だ。リングに上がると、観客席へ向かってファンをアジる。ゆっくりと入場するTAISHOは途中でガウンを脱ぎ捨て、リングインすると対角線にいるパルヴァーを真っ直ぐに睨みつける。

第1試合1R10分、2R5分
1R 1分55秒 KO(スタンドでのパンチ)
パンクラス軽量級のエース・前田吉朗は、PRIDEデビュー戦を直前に控えても、至って冷静だった。試合前日のインタビューでも「結構、普通の感じです。いつもの試合前とあんまり変わらないです」と、眠そうな目をこすりながら、言ってのけた。調整も順調で、「トレーニングもいい感じ」。73kg以下用に合わせてとまではいかないものの、意識して食べる量を増やして、ウエイトアップにも成功した。どうしてもキャラ先行型になりがちのクレイジー・ホースについては「荒そうに見えて、実は技術がある。パンチで五味選手を押している部分もあったし」と、警戒心を見せた。当初は得意の打撃戦にこだわろうと思ったという前田だが、師匠・稲垣からの言葉もあり、色々な局面で柔軟に戦っていくと軌道修正した。それまでリラックスしていた前田が、一瞬表情を険しくした瞬間がある。それは「他の日本人の試合を意識しますか?」という質問を投げかけた時だ。「多分、他の日本人選手は『僕には勝てる』と思ってるでしょうけど、その感覚を変えたい。『前田なんてこんなもんか』って思われたくないし、対戦相手だけじゃなくて、日本人にも自分の強さを知らしめたいんです」敵は対戦相手だけにあらず。新生・武士道の一発目の、さらに第一試合で、前田は「前田吉朗ここにあり」をアピール出来るか?
 PRIDEデビュー戦では試合前から五味を小バカにし、試合中にもいきなりコーナーポストから五味を挑発するなど、敗れはしたものの強烈なインパクトを残したクレイジー・ホース。二度目のPRIDE参戦となった今回も、その悪ガキぶりは健在だ。スタッフの静止を振り切り、大会ポスターのサインの寄せ書きでは、「リマッチ」を連呼しながら、五味の顔の上に自分のサインを書きなぐり、インタビュー中も瞑想するように目を閉じて、いきなり奇声を発するなど、その行動は理解不能だ。ドン・キングをイメージしたという爆発した頭同様、爆発的なファイトスタイルで、前田を「30秒でKOする」と、金色の前歯を見せてニヤリと笑った。
 なぜか背中を見せて体育座りのクレイジー・ホースは、リングに上がっても、寝転がって試合前の緊張感はゼロだ。一方、前田はいつも通り、イエロー・モンキーの「レインボーマン」で入場、花道に上がると、場内を見回し小さく笑みを浮かべる。レフェリーのルールチェックにも、カメラ目線でニヤニヤ笑うクレイジー・ホース。前田はそれを完全に無視し、挑発には乗らない。
大会名称PRIDE 武士道 -其の七-
開催日2005年05月22日
会 場有明コロシアム