PRIDE 武士道 -其の八-
2005.07.17 名古屋市総合体育館レインボーホール
PRIDE
第11試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
 五味の写真をシュート・ボクセ勢が全員で踏み付け、ビリビリに破ってトイレに捨てるというVTRが場内に流れると、一気に緊張感が高まっていく。そう、前回の武士道で五味がアゼレードKOした後、なおも襲い掛かった行為に対してシュート・ボクセ勢は怒りに震えているのだ。
「五味に対して、俺が怒っているかって?もちろんだ。あいつがルイス・アゼレードに対して行った行為は、非常に残念に思った。俺だけじゃない。きっと世界中、日本中のファンも同じように思っているはずだ。あいつの行った行為が、俺のモチベーションを高めているんだよ」と語ったシウバは、「ハッキリ言ってやろう、あいつはただのゴミだ。あいつはプロとしてもっと成長しなければならない。サムライのスピリットを五味は持っていないね。さらに言うなら、俺はあいつを強敵だとは全く思っていない」と言い放った。
 尋常ではないシュート・ボクセ勢の怒り。その全てが今夜、五味にぶつけられる。
 一方の五味は「ジムの体制や引越しもあって、多少やりこめない部分はありました」と調整不足を匂わせるような発言。それでも、「新しいスタイルの五味を見せたいですね。今までの6試合とは違って、楽しめると思うし、いい作品が作れるんじゃないですかね」と自信は揺らがない。ハッキリとは言わなかったが、新しい技とは“蹴り”を意味しているのではないかと推測される。
 シウバはイギリスの金網総合格闘技大会ケCageRageのベルトを肩に掛け、自らのテーマ曲を口ずさみながら拳を振り上げて入場。途中ではダンスも披露し、最後まで歌いきってのリングイン。続いての五味の入場では、割れんばかりの大歓声が沸き起こる! 五味は黒いフードを頭から被り、場内を眺めながら花道に歩を進める。その間、シウバは五味のテーマ曲でダウンを踊る。リングインした五味は、走ってリング内を一周した。

第10試合1R10分、2R5分
1R 1分40秒 KO(スタンドでのパンチ)
武士道ウェルター級のエース・長南亮。前回のニーノ戦ではニーノのガードワークを崩す事が出来ず、不完全燃焼の試合をしてしまった。対戦カード発表記者会見では「次のバローニ戦ではガチンコの試合をしたい」と決意を語った。
 「バローニは気持ちが強くて意外と倒れない。「スタミナがなさそうに見えるけど、ちゃんと最後は勝っている。総力戦になるかもしれない」と長南。バローニ対策として階級が上の選手とのスパーリングの量を増やし、打撃では蹴りを中心にトレーニングしてきた。「バローニのパンチは手打ちだからモーションが読みづらい」という打撃戦が勝負の鍵となる。
 前回の美濃輪戦でも暴言を吐きまくっていたバローニだったが、今回もその毒舌は相変わらず。「アイツは魚みたいな顔してやがる。俺がサシミにしてぺロッと平らげてやる」と長南にかみつく。しかし今回はただ相手を罵倒するだけではなく、ちゃんと怒りの理由があるという。「アイツは俺を倒してUFCの王者クラスと戦うと言ってるらしいな。何言ってんだ! まず俺に勝つことは出来ないし、俺が王者クラスだ!」と吼えた。
トレードマークの真っ赤なガウンとサングラスで、ゆっくりと花道を歩きパフォーマンスを続けるバローニ。一方、長南は真っ白なガウンで入場。いつも染めている髪を染める長南だが坊主頭のままだ。

第9試合1R10分、2R5分
1R 3分11秒 アキレス腱固め
蘇った伝説の怪人キモを、リアル・プロレスラー美濃輪が迎え撃つ。
 美濃輪が今回のテーマに挙げたのは、会場に吹かせる「熱風」と「自然」だ。そのために美濃輪は山で特訓を行い、さらにビルの屋上に登って太陽光を体いっぱいに浴びて「光合成」をして、自然のパワーを取り入れたという。「自然の中から学んだものは自然、自然体でしたね。自然の中に入っていると内臓から体調が良くなってきて、汗と一緒に毒が出て行く気がするんです。と言う美濃輪は、「キモとは必ずいい試合になる。殺るか殺されるかの試合をしたい。あいつは試合で僕のことを殺しに来るでしょうね。そこでいかに冷静になって刺すか。刺すんです」と、美濃輪節で試合への展望を語った。
 少しスリムになったキモは、表情一つ変えずこう言った。「技術的にはレスリングだけでなくスタンドも出来る選手だ。武士道の、侍の心を持ったファイターだと思う」とリスペクトの姿勢を見せたが、計量の時には美濃輪を睨み付けてきたという。美濃輪がさっきを感じるほどに、だ。その殺気が本物なのか、37歳となった今でも往年のパワーを保持しているのか? その答えは、間もなく出る。
 キモは十字架を背負わず、Tシャツ姿で入場。その顔はやや引き締まって見える。ゆっくり、ゆっくりと8年ぶりのPRIDEのリングへ歩を進め、リングインすると「押忍」と両腕で十字を切って四方へ挨拶。続いて美濃輪の入場テーマ曲が鳴り響くと、場内の空気が一変。美濃輪は三歩進むといったん下がり、続いて花道をダッシュ! リングインすると雄たけびを上げる。両者の間には10kg以上の差があるが、美濃輪は四点ポジションからのヒザ蹴りを認めた。

第8試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
五味との頂上対決が期待される川尻の前に、元祖”五味との対戦を要求していた”男ルイス・ブスカペが立ちはだかった。
 しかし川尻本人は「ブスカペのビデオはアゼレード戦を見たんですけど、打撃だけじゃなくどうなっても僕の方が上ですよ。テイクダウンされずに殴ってもいいし、テイクダウンして殴ってもいい。ブスカペは強敵だって言われてますけど、そういう相手と闘わないと意味がないし、自分のレベルを上げるためには強い選手と戦わないとダメ。そもそもPRIDE武士道に出ようと決めたキッカケは強い相手と闘いたいから」と語る。前回は出すことが出来なかったサッカーボールキックを予告し、「ブスカペの頭を蹴飛ばしてブラジルまで吹っ飛ばしてやりたい」と、クラッシャーぶりを発揮した。
 一方、五味への挑戦権まであと一歩のところまで近づきながら、ルイス・アゼレードに敗れたブスカペ。前回の武士道でも試合が決まりながら自らの体調不良で欠場している。「あの試合自分は負けてないと思う。でもジャッジがそう判断したんであればしょうがない。それにあの試合で反省点を見つけることも出来た。今回はちゃんとコンディションも整えて100%の状態だよ」とブスカペ。アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラともスパーリングを積み重ね、「対戦相手の川尻はタフな相手だけど、今回は勝つために日本に来たわけだし、勝つこと以外考えていない」と自信を持っている。
 「はっきり言って俺にはまだカスリもしないよ」という、五味を振り向かせるのはどちらだ?

第7試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
 マニアの間では“裏メイン”と評判の好カード。昨年の武士道初登場では、シュート・ボクセのマカコを相手にグラウンド打撃で圧倒した三崎へ、刺客アカーシオが放たれた。
「アカーシオはいいファイターですね。バランスがいいし、とてもアグレッシブでスタミナもある。僕が彼の一番買っている部分は、ハートなんです。気持ちが熱い選手だと思う。その勢いを逆に気持ちで潰してやろうと思っている」と試合前に語った三崎。当然、グラウンド打撃で勝負かと思いきや、「ポイントになるのはスタンドでの打撃」だという。相手の土俵ともいえるスタンドで、シュート・ボクセを喰う事ができるか。
 三崎が「最高の試合が出来る」と言えば、アカーシオも「僕との試合はいい試合になるだろうね」と答える。ただし、「勝つのは僕だ」と付け加える事も忘れない。「スタンドの打撃に関してはもちろん僕のスキルの方が上だし、シュートボクセのムエタイと柔術は世界最高なんだ。出来ることならパンチ、踏み付けで三崎をKOしたいね」と、“スタンド勝負上等”の構え。
 どちらのスタンドでの打撃が優るか、激しい打撃戦必至の対決、いよいよゴング!
 アカーシオは姿を現すと、両手をグルグルと回して観客にアピール。白いマウスピースを口元から覗かせ、シャドーボクシングを披露しながらの入場だ。一方の三崎も、テーマ曲に乗って体を左右に振りながら、アカーシオと同じように両手をグルグルと回してアピール。凄まじい気合を感じさせる。三崎はリング下で祈りを捧げると、ステップを駆け上がってリングイン。睨みつけるアカーシオに対し、右に左に視線を外す三崎。

第6試合1R10分、2R5分
1R 2分34秒 KO(スタンドでの膝蹴り)
五味を倒した男、北欧の処刑人ヨアキム・ハンセンが遂にPRIDEマットに初上陸する。「PRIDEにはずっと前から出たいと思っていたからワクワクしている」とハンセン。もともとは頭突き・肘打ちありという、過酷極まりないルールで戦った経験もあり、大会前の囲み取材では今成の撲殺を宣言している。今成対策も十分で「今成のファイトスタイルを考えるとグラウンドが中心になるだろう。だからパウンドを中心に練習してきた。今成のレッグロックや関節技に気をつけながら、パンチを落とす」と語る。「PRIDEデビュー戦だからビッグインパクトを残したい」という言葉を実践できるか?
 この強敵を前に今成はこれまで以上に気合が入っている様子。道場に泊り込んで1日3回、2週間の合宿を行って「いつもよりは練習したかな」。こちらの質問に対しては「適当です」「思い付きです」と、はぐらかす今成だが、この試合にかける思いは強いようだ。「極めるならファーストコンタクトで」と短期決戦を匂わせた今成。その言葉通り、ゴング直後から今成の動きに目を離せない。

第5試合1R10分、2R5分
1R 1分31秒 KO(スタンドでのパンチ)
大晦日の瀧本戦での反省から、キックボクシングを習い始めたという戦闘竜。相手の足を止めるための、ローキックを特に学んでいるという。「蹴りを組み合わせることでパンチや張り手が有効に使えると思う」と、コンビネーションを使うつもりだ。戦闘竜がやるローキックはいわば“けたぐり”。「向こうはいきなりラッシュをかけてくる選手だから、自分としてはやりやすい。自分の相撲は絶対に下がらない、逃げない相撲だったから、動き回る相手よりもぶつかってくる相手の方が得意だった。トンプソンの突進にはぶちかましで対抗して、トンプソンの懐に入って殴り合いますよ」と、相撲技“ぶちかまし”も狙っていくつもりだ。
 一方、“もう一度見たいファイターNo.1”トンプソンは、さらにビルドアップしての再登場だ。多くのファンを驚かせたあのゴング&ダッシュがまた見られる。戦闘竜のぶちかましか、それともトンプソンのゴング&ダッシュか。戦闘竜の言うとおり、「必ず1Rで決着がつく」闘いとなるだろう。
 トンプソンはすでにイってしまった目で堂々たる入場、リングインすると再来日を待ち望んでいたファンから大きな歓声が沸き起こる。戦闘竜はさらに引き締まった肉体をTシャツに包み、大きく両手を上げて四股を踏んでから花道に歩を進める。自信に満ち溢れた表情だ。傍らには、キックボクシングのコーチであり、極真空手の創始者・大山倍達総裁の最後の内弟子ニコラス・ペタスの姿も見える。

第4試合1R10分、2R5分
1R 9分30秒 アームバー
田村潔司の呼びかけに吉田秀彦が応じ、開戦したU-FILE対吉田道場の対抗戦。先鋒戦で激突するのが、田村の秘蔵っ子・大久保と”吉田道場第5の男”村田龍一だ。
 久しぶりのPRIDE参戦となった大久保。その間に海外での試合を経験し、一回り大きくなって帰ってきた。「僕もU-FILEの看板を背負っている。それに恥じない試合をする。見ている人が分かりやすい、感情の剥き出しの試合をしたい」と、普段はあまり感情を顔に出さない大久保も気合十分だ。
 これが総合デビュー戦となる村田だが、この男に緊張しているという雰囲気は全くない。「闘争心と冷静さがバランスよく自分の中にあっていい感じ」と、試合前日の感情を語った村田。吉田道場で総合のトレーニングをするかたわら、ボクシングジムで打撃を特訓。「ヘッドギア付けてボクサーのガンガンスパーリングしてますよ。というか僕マススパーが出来ないんで、結局ガチガチのスパーリングになる」と打撃に対する不安はゼロ。むしろ「何度か寝転がっているヤツの顔面を殴ったことがある(笑)」というキラーなエピソードの持ち主。「まずは大久保選手に勝って、次は田村選手に挑戦したい。この対抗戦、吉田さんが出る幕はないですよ」と強気なコメントを残している。
 村田のセコンドには吉田と瀧本誠、大久保のセコンドには田村が付く。

第3試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
“黄金の三角絞め”を持つ男、34歳のベテラン中尾がついにPRIDE初参戦! プロ修斗で総合格闘家としてのキャリアを始め、ミドル級戦線のトップファイターとして長期にわたり活躍。UFCでも勝利を収めて、フリーとなってからはトーナメントを制してDEEP初代ウェルター級王者となった。分かっていても掛かってしまう真の必殺技・三角絞めを持つ中尾だが、「下になって三角狙いだと、極まるまでは結構地味なんですよね(笑)。だから今回は、グラパン(グラウンドでのパンチ)かスタンドでのパンチで、なるべく豪快に勝ちたい」と言う。さらには、「サッカーボールキックとか踏み付けも、チャンスがあればやりたい。けっこう、顔面を踏みつけたいなって(笑)」と、PRIDEのルールを最大限に使って一方的に勝つつもりだ。
 アウレリオは“リトル・ノゲイラ”の異名を持つ柔術歴23年の柔術家であり、ZST-GPで今成正和、タクミ、レミギウス・モリカビュチスといった強豪たちを撃破して優勝したほどの実力者。しかし、武士道に参戦してからは三島に負け、中村大介にはずっとバックをキープしての動きのない試合で判定勝ちと、その実力を発揮する事が出来ていない。次々と世界の強豪が名乗りを上げる中で、アウレリオの立場は微妙となっている。ここでGP参戦に名乗りを挙げている中尾を破り、その存在感を示す事ができるか? アウレリオは「彼の三角絞めは特別な技だとは思わない。俺も三角絞めは得意だから、逆に仕掛けてやると」と中尾を挑発する。
 アウレリオは自らのテーマ曲に乗って、踊りながら入場。トップロープをジャンプして飛び越え、華麗に入場だ。中尾はゆっくりと歩を進め、同じようにトップロープを飛び越えてのリングイン!

第2試合1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
ミドル級GP戦線を占う、そしてマニア必涎の一戦が組まれた。今回がPRIDE初参戦となるアンドレイ・シモノフはUFC、M-1のリングで活躍。コマンドサンボ、ボクシング、キックボクシングをバックボーンに持ち、左フックを武器とするハードパンチャーだ。ヒョードルとも交流があり、レッドデビルが送り込むミドル級ファイターだ。
 対するデニス・カーンは『武士道―其の伍―』の大場貴弘戦でPRIDEデビュー。グラウンドで大場を圧倒し、その実力を知らしめた。武士道参戦の反響は大きく、地元韓国では「ショッピングモールを歩いていると、たくさんの人に声をかけてもらうんだ。ファンの声援はパワーにつながるよ」とカーン。今回の試合に向けて、アメリカン・トップチームでトレーニング、コンディショニングのコーチも招聘した。さらにヒョードルばりのパウンドを見につけたという。
 過去に対戦経験のある両者。「今回こそKOで倒して決着を着ける」(シモノフ)「あの試合は自分が勝っていた。今回は判定まで持ち込ませない」(カーン)と意気込んでいる。じっと互いに目を見合わせる二人。静かに闘志を燃やした。

第1試合1R10分、2R5分
1R 2分35秒 膝十字固め
急遽決定したカードがオープニングマッチとして行われる。名古屋が世界に誇るグラップラーの杉江と、UFCで活躍するトムソンの一戦。
 杉江は数少ない日本人ブラジリアン柔術の黒帯であり、寝技を得意とする。「PRIDEに出ると決めたからには判定は狙いません。僕が殴り倒されるか、僕がトムソンの腕をへし折るかのどちらかでしょう。そういう緊張感のある試合がしたい」と、サブミッションで腕をへし折るつもりで臨むという。
 トムソンは3歳からレスリングを始め、高校で3度州王者に輝き、22歳の時にはオールアメリカンにも選ばれたというエリート・レスラー。しかし、そのファイトスタイルは打撃主体であり、今回の杉江戦も「テイクダウンをディフェンスして打撃で闘う」と宣言した。
 ニットのキャップを被り、鋭い眼光を光らせて入場するトムソンは気合満点。リングインすると、右手を大きく上げて観客に投げキッスだ。一方、杉江は柔術衣に身を包み、やや緊張気味の表情で入場、それでも手を上げて観客を煽る。
大会名称PRIDE 武士道 -其の八-
開催日2005年07月17日
会 場名古屋市総合体育館レインボーホール