PRIDE 武士道 -其の十一-
2006.06.04 さいたまスーパーアリーナ
PRIDE
第11試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
2R 判定 3-0
いよいよメインイベント。瀧本は敗れたが、ここまで三崎の先輩の郷野、長南の二人が2nd ROUND進出を決めている。三崎も続きたいところだが、相手は美濃輪、長南、近藤をことごとくKOで破っているバローニだ。出だしのマッスル・ラッシュを凌げるかどうか? 勝敗はそこにかかっていると言っても過言ではない。
 試合当日、三崎は自分の部屋を綺麗に片付けてから家を出る。もう二度と、この家には戻って来れないという、戦場に向かう気持ちで試合会場へ向かうためだ。「試合後のインタビューは郷野さんと一緒に受ける。郷野さん、少しの間、待っていて下さいね」と勝っての“生還”を誓う三崎。「相手の筋肉を利用して勝つ」と、謎の言葉を残す。
「三崎は俺の体が羨ましいだけだろう? 俺の筋肉を利用して勝つ? さっぱり意味が分からないぜ」とあざ笑うのはバローニだ。「だったら俺は、お前のアゴを利用して勝つ。男らしく打ち合え!」と三崎への挑発を繰り返した。三崎もバローニの挑発を一笑に付し、「打ち合いが男らしいというのは勝手な価値観でしょう。僕は自分が楽しむ事しか考えてませんよ」と“自然体”を貫いた。
“自然体”か“マッスル”か? 日米の意地を賭けて、メインイベントで激突する!
 サングラスに赤の派手なロングガウンを身にまとったバローニは、入場曲に合わせて体をムーブさせる。TVカメラにはガウンの前を開いて、自慢の筋肉をアピールだ。一方、三崎は左右に激しいステップを踏みながらの登場。両腕をグルグルと回し、リング上のバローニを花道から睨みつけ、バローニもこれに視線で応戦する。リング上とリング下で激しい火花が散る! リング下で祈りを捧げ、三崎がリングイン!

第10試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
1R 15秒 KO(グラウンドでのパンチ)
 前回の試合では初となるウェルター級での一戦で、パウロ・フィリオに完敗を喫したニンジャ。しかし一度ウェルター級での試合を経験したことで、減量にも慣れて「前回と比べるとコンディションは全然いいよ」と語っている。もともと技術とスタミナに関しては申し分ないニンジャだけに、コンディショニングの調整が万全となれば、ウェルター級GP制覇に向けて刺客はない。
 そんなニンジャとの対戦を前にしても、カーンは自分の勝利を信じて疑わない。「寝技に関しては間違いなく自分の方が上。アメリカン・トップチームで打撃のディフェンスにも力を入れてきたから問題ない。ニンジャのアグレッシブさの隙をついて闘う」と不敵な笑みを浮かべる。昨年のGPに自分が出ていれば優勝していたのは自分と豪語するカーン。果たしてその言葉は現実のものとなるのか? 入場曲に合わせて小刻みに体を揺らすニンジャ。セコンドには弟ショーグンの姿も見える。カーンは腕を振り回し、リングをにらみつけるように鋭い視線で花道を歩いた。コアなファンの間では裏メインと期待感を集めた一戦。しかし結末は意外なものとなった…

第9試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
執拗に瀧本を挑発した郷野だったが、郷野戦に名乗りを挙げたのは同じ吉田道場の“キューバの柔道王”へクターだった。しかし、郷野の毒舌は止まらず「俺が守ってばかりだって? そう見えるならヤツはシロートだ。PRIDEより二枚も三枚も落ちるリングで、二枚も三枚も落ちる相手に勝ったからって、調子に乗るだけだ。俺とやればパニックに陥る」と自信満々だ。
 これがPRIDEデビュー戦となるへクターは、「郷野の口を黙らせてやる」と意気込む。「吉田道場での練習で実力は400%アップした。郷野には何の印象もない。叩きのめすだけだ」と敵意を剥き出し。「俺はベリー・アグレッシブ・ファイターだ」と、“ディフェンシブ・ファイター”を自認する郷野とは正反対の言葉を口にした。
 これまでの総合格闘技でのキャリアや実績を考えると郷野の有利は動かない。しかし、へクターはオリンピックにも出場した柔道の実績と、常人離れした肉体とパワーを誇る。あまりにも実力が未知数であり、郷野といえども油断は禁物。最後までどうなるかは分からない!
 へクターは柔道衣の上だけを着て登場、入場曲に乗ってダンスを繰り広げる。一方の郷野は金髪のアフロヘアー、サングラスをかけ、スーツを着こんでなんと花道でバックダンサー(GRABAKAの選手)と共に華麗なダンスを披露だ。ダンスマンと化した郷野は、場内を大いに盛り上げる! しかも、コールと共にスーツを脱ぐとその下にはゼブラ柄の派手なタイツ! 郷野のパフォーマンスにヘクターは不機嫌さを隠せない。

第8試合 ライト級ワンマッチ1R10分、2R5分
1R 1分04秒 KO(スタンドでのパンチ)
大晦日での五味隆典戦から半年、マッハがリングに帰ってきた。五味戦を「運が悪かったようなもの」と語り、ポジティブシンキングぶりを発揮。対戦カード発表記者会見では他のメンバーに断りもなく勝手に(?)チーム茨城を結成するなど、自然児ぶりは健在だ。マッハ道場に自家製のサウナルームを作り、これまでマッハを苦しめてきた減量対策もバッチリ。先月喧嘩に巻き込まれ、一般人に顔を殴られて負傷するアクシデントがあったものの、「殴らせる前に倒すから大丈夫」と言い放った。対戦相手のアルフォンソは「勝ち負けよりもお客さんを楽しませることが大事」と公言する、エンターテイメントを強く意識するファイター。折れた鼻をそのままにし、最も力を入れている練習を瞑想、ジャングルで木に登ったり河で泳ぐトレーニングを続けていたという変り種だ。しかしそんなキャラの立つアルフォンソに対して、マッハは「向こうがお客さんを楽しませる前に倒しますよ。悪いけどそんな出番はない」と切り捨てる。マッハはケガを防御するためのフェイスマスクのパフォーマンス。マッハの後に続いて、マッハ道場少年部のメンバーが道場訓を書かれた旗を持って入場する。

第7試合 ライト級ワンマッチ1R10分、2R5分
1R 2分30秒 膝十字固め
入場式で大歓声を浴びて、PRIDEに帰って来た川尻。「僕を忘れている人もいると思うので、エースがいない間に自分をアピールして一番を目指したい」と控えめなコメントを残している。戦前の予想は川尻有利だが、本人は「PRIDEに上がる選手だから、それなりに強いと思っています。油断だけはしないようにする」と、ベネットのパンチと投げ技に警戒を強める。ライオンがウサギ一匹を倒すために全力を尽くすように、万全を期してのPRIDE復活戦に臨むつもりだ。
 その川尻を「殺してやる」と挑発するのはベネットだ。「俺は五味に勝てる男だから、五味に負けた川尻よりも強い」と言い放ち、「俺のこの可愛い顔に傷を付けるヤツは許さない! 俺の顔に傷を付けてみろよ。俺はさせないように先手を打ってやる」と先手必勝を宣言した。昨年のライト級GPリザーブマッチで、前田吉朗をKOに沈めたクレイジーパンチが再び火を噴くのか? ベネットはこの試合に勝利し、年末からの悲願である俳優デビューを狙っている。
 ベネットは入場からキレっぷりが爆発! 踊りまくり、客席に向かって何事かを叫び、テレビカメラにも放送席にもアピールだ。時間をたっぷりと使ったベネットはトップロープを掴み、大きく前方回転しながらリングイン。続いて登場した川尻は、客席を見渡すと真っ直ぐにリングへ向かう。リングインすると両腕を振りながら、ステップで大きなサークルを描く。ベネットはカメラ目線で舌なめずり。

第6試合 ライト級ワンマッチ1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
五味隆典に一本勝ちしたことで、一躍ライト級のトップコンテンダーに登りつめたアウレリオ。しかしその勝利におごることなく、「むしろモチベーションは上がっている」と、激しい練習で汗を流してきた。そのモチベーションとなっているのは、五味の持つPRIDEライト級のベルト。アウレリオが五味を下した一戦は、あくまでノンタイトル戦であり、以前としてベルトは五味の腰に巻かれている。五味ともう一度闘うまで、アウレリオは途中でつまづくわけにはいかない。
「アウレリオに舐められている」と、試合前に珍しく怒りを露にしていた石田だが、試合が近づくに連れてその怒りは収まってきたという。「自分を追い込む練習を続けているので、相手のことは気にならなくなった」からだ。アウレリオ戦に向けて日大レスリング部で出稽古を行い、得意のタックルに磨きをかけてきた。「奇跡が起こらない限り、僕が関節技で一本を取ることはありません」と自嘲する石田。しかし「関節技で勝てないんで、その分殴り続けます」とニヤリ。前回大会で強烈なインパクトを残した石田が一気にスターダムを駆け上がるか!?
 日本の国旗を持ってリングインした石田。アウレリオはアメリカン・トップチームのロゴが入った星条旗を手にしてリングへ上がった。

第5試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
1R 5分36秒 ドクターストップ
16歳の時にボクシングでオランダ・ジュニア王者にもなった事がある、打撃の天才児ムサシ。DEEPで2勝を挙げて、待ちに待ったPRIDE武士道初参戦である。「俺は相手が83kg以下だろうと100kg以上だろうと構わない」と豪語するムサシは、「俺のボクシング・テクニックをぜひ見て欲しい。自分が強いストライカーであり、常にKOを狙うファイターである所を見て欲しいな」とアピールする。まだ一度も倒れた事のない瀧本をKOし、優勝戦線に名乗りを挙げるか?
 一方の瀧本はマイペースを貫いた。今回のGP前、郷野やフィリオから挑発されたが、「僕は全く気にしてません」と平常心。今までは体重差のある闘いを自ら臨んでやってきたが、今回はオリンピックで金メダルを獲った本来の階級に近いため、「パワーの差もないし、いつもよりはやりやすいかな」と語る。今回も「お客さんを喜ばせる試合がしたい」と抱負を語る瀧本。ここまで戦績は2勝2敗、全て判定決着となっている。ここ最近はブーイングを浴びせられる事もあったが、適正階級で真の瀧本が見たいところだ。
 まずムサシが冷酷とも見える表情で入場、歓声に応えるわけでもなく、うつむいたまま表情ひとつ変えずにリングインする。続いて瀧本が柔道着を身にまとって登場。こちらも表情ひとつ変えず、うつむいたままリングへ向かう。格闘人生の全てを賭けたPRIDE第5戦、もう後がない状況でどんな試合を見せる?

第4試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
2R終了 判定 2-1
「久しぶりに試合前に緊張してます。それはやっぱり勝ちたいって気持ちが強いからです」と語るのは長南。DEEPミドル級王者としての武士道凱旋となったが、武士道のリングではバロー二とヘンダーソンに連敗を喫しており、まさに崖っぷちである。しかしアメリカに渡って多くのことを学んだ長南は、対外国人選手攻略法に手応えを感じている。ジョーイ攻略法も数パターンは考えているという。「最低でも勝ちたい」と勝利に飢える長南が、どんな闘いを魅せてくれるか?
 ヴィラセニョールはKOTC王者にして、金網では15戦無敗という驚異的なレコードを残している未知の強豪だ。グラップリングを武器としているものの、パワフルなパンチとパウンドは強烈。自らを「アグレッシブファイターと。常に相手を倒しにいく」と語るなど、戦績からは測り知れない強さを持っていることは間違いないだろう。ヴィラセニョールは「武士道の怖さを教える」という長南に対して、「アステカ戦士の強さを見せる」と力強く語った。
 胸を拳で叩き、自らを鼓舞するヴィラセニョール。長南はPRIDE参戦前の入場曲に戻し、真っ黒なガウンにピラニアマスク。リングを大きく回るいつものパフォーマンスを見せた。ダン・ヘンダーソンがリング下で見守る中、長南の生き残りを賭けた闘いが今始まる!

第3試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
昨年のリザーバーから一転、優勝候補筆頭と言われるフィリオ。「練習するよりも試合の方がラクだよ」というほどのハードトレーニングを積み、その中にはあのヒクソン・グレイシーとの練習も含まれている。ヒクソンからは柔術の細かいテクニック、そしてヒクソン自身が得意とする総合格闘技でのテクニックを伝授されたという。「俺の一本勝ちをお楽しみに」と、サブミッションによる一本勝ちを予告するフィリオ。準決勝では瀧本とのジャケットマッチを目論んでいる。
 ユン・ドンシクに代わり、急遽、出場が決定したグレゴリーは、ブラジリアン柔術の達人として知られるデラヒーバの弟子から柔術の紫帯をもらった選手だ。優勝候補筆頭のフィリオを相手にしても、「彼の弱点は打撃だ。フィリオの顔面にヒザ蹴りが入る瞬間をお見逃しなく」と、大胆不敵にもKO宣言。柔術のテクニックでは劣る部分を、もう一つのバックボーンである空手で補うという。
 関節技か、打撃か? 優勝候補が1回戦で無名の選手に敗れるという大番狂わせは実現するのか?
 グレゴリーは入場曲を口ずさみ、フランス国旗をバックに登場。Tシャツの上にはなぜかネクタイが締められている。フィリオは姿を現すと、右手の一本指を天高く突き上げた。コスチュームはお馴染みとなった、ノースリーブのチェック柄シャツである。足早にリングへ歩を進め、リングに上がると真正面からグレゴリーを睨みつける。

第2試合 PRIDEウェルター級グランプリ 1回戦1R10分、2R5分
2R終了 判定 3-0
PRIDE史上最も過酷なGPと言われるウェルター級GPで、ダークホースの呼び声高いのがスロエフだ。PRIDE参戦は1年ぶりとなるが、この1年間で練習環境を整え、「練習量が2倍、時には4倍に増えたよ」と語る。キャリアを考えれば、対戦相手のブスタマンチは格上となるが、「何も恐れることはない。もし恐れを感じるようならば、リングに上がるつもりはない」と自信満々。昨年のGPファイナリストを撃破し、影の優勝候補の実力を証明できるか?
 対するブスタマンチは今年40歳を迎え、このメンバーの中では最もベテラン選手。しかし年齢から来る衰えはなく「今でも若いメンバーと同じ練習をこなしているし、もし衰えを感じるようならリングには上がらない。むしろ年齢を重ねるごとに私は強くなっている」と、”鉄人”ぶりを発揮する。柔術のトレーニングはもちろん、トップチームでの練習だけでなく、ボクシングジムでもスパーリングを繰り返した。宿敵ダン・ヘンダーソンへのリベンジに向けて、ブスタマンチ健在をアピールしたいところ。
 真っ赤なTシャツを見にまとい、落ち着いた表情でリングへ向かったスロエフ。対するブスタマンチは柔術着姿で、トップチームの面々を引き連れて花道を歩く。リング上で向かい合うと、かなり身長差がある両者。これがどう試合に影響するか。

第1試合 ライト級ワンマッチ
1R 6分25秒 TKO(タオル投入)
韓国格闘技関係者が韓国総合No.1選手として自信を持って送り込むのが、オ・ウォンジンだ。レスリングをベースに持ち、日本での試合で内臓破裂しながらも闘い続けたという伝説を持つ。PRIDE出場を喜ぶウォンジンだが、ライト級で名を挙げて五味、川尻、ハンセンと闘いたいという野望を燃やしている。「投げが得意だから、相手が向かってきたからぶん投げてやるさ」と投げ技を炸裂させる事を公言し、“足関十段”今成から習った関節技でPRIDE初勝利を狙う。
 一方、マニアに間で早くからPRIDE参戦が望まれていたブラック。デビュー以来5年間で19連勝という戦績を誇り、その内の10勝が首関節技によるものだ。「PRIDEの中でサブミッションを得意とする選手が何人かいるが、自分も同じくらい出来る選手だと考えてもらっていい。KOで勝てる選手は見た目が派手だから人気があるけれど、私だってキッチリと一本で勝つ。ダラダラとした試合をするつもりはない。早い段階でサブミッションをキッチリと極める」と、脅威のサブミッション・マスターとしての自信を覗かせた。
 群雄割拠の戦国時代に突入したライト級に、新たに名乗りを挙げるのはどっちだ!?
 最初にウォンジンが入場、笑顔を浮かべつつ、軽快にステップを踏んでのウォーキングだ。ブラックはうつむき加減に、物静かな入場。その姿がかえって自信を感じさせる。
大会名称PRIDE 武士道 -其の十一-
開催日2006年06月04日
会 場さいたまスーパーアリーナ