PRIDE.30
2005.10.23 さいたまスーパーアリーナ
PRIDE
第8試合1R10分、2・3R5分
3R終了 判定 3-0
「もしあの時、アクシデントがなければヘビー級の歴史は変わっていたかもしれないって? 僕もそう思うよ」ジョシュは敢然と言い放った。ほぼ1年前、場所も同じさいたまスーパーアリーナでジョシュは初めてPRIDEのリングに上がった。“ヘビー級最後の大物”として注目を集めたが、ミルコをテイクダウンした際に肩を脱臼するアクシデント。ジョシュのPRIDEデビューは、あっという間に終わり、史上最年少UFCヘビー級王者の権威は地に落ちたのである。
 だが、専門家の中にはジョシュの言うとおり、“もし”あの時、アクシデントがなければその後のヘビー級の歴史は大きく変わっていたと見る者も少なくない。
「1年経っても、ミルコはスタイルが変わっていない。グラウンドのテクニックに関して、相変わらず不安要素がある」とジョシュ。失われた1年間を取り戻すために、いま再びPRIDEのリングに上がる。
 ヒョードルとの大激闘から僅か2ヵ月、早くもリングに戻ってきたミルコ。今回は前回と違い、いつもどおりの試合直前の来日を果たした。復帰戦であえてジョシュという強敵を迎え撃ったのは、「何度やっても結果は変わらない」という自信の表れなのだろうか。1年前の真実はどこにあるのか、それを証明するためにミルコはリングに上がる。
 愛する『北斗の拳』のテーマ曲にのって、ジョシュはタオルで顔を隠しての入場。背後には新日本プロレスの旗。リングに上がってタオルを外すと、ジョシュの髪の毛はケンシロウのように逆立っていた。一方、ミルコはうつむき加減に登場し、そのままリングへ歩を進めていく。
 ミルコが4点ポジションのヒザを認めたため、この試合は通常ルールで行われることになった。

第7試合1R10分、2・3R5分
1R 2分27秒 TKO(グラウンドでのパンチ)
 総合格闘技のレジェンド同士の対戦であり、共にスタンディングオーバーするためには負けられない戦い、そして兼ねてから戦いたいと思っていた二人の試合だ。「桜庭のキャリア、実績は素晴らしいと思う。ファンだけでなく私自身も楽しみな一戦だ」と語るのはシャムロック。41歳という年齢と長年のキャリアで蓄積したダメージが心配されるのだが、「そういう質問を受けることは長年プロのファイターをやっていれば当然のことだ。そしてそういった心配が心配だってことを試合で証明してみせるよ」と力強く答えた。
 アローナ戦での敗北以降、シュートボクセに武者修行を敢行した桜庭。最先端の総合格闘技テクニックを見につけると共に、フィジカル強化にも成功。体重は92.4kgにまで増え、PRIDE参戦以降初めて、朝食を抜いての計量に臨んだ。「練習でも押さえ込みが前よりもガッチリして、効果は出ていると思いますよ」と桜庭。また特定はしなかったものの”じろう”という新技があることも明かしている。花道を歩く桜庭の後ろにはシュートボクセのフジマール会長&コルデイロコーチの姿も見える。

第6試合1R10分、2・3R5分
3R終了 判定 3-0
 柔道時代に対戦し、ユンが瀧本を絞め落としているという過去がある。しかし、両者とも「過去の事は関係ない」と口を揃えた。
 瀧本は吉田道場へ新たに迎えた元シュート・ボクセのコーチの元、打撃特訓に力を注いできた。「最初は柔道の寝技があれば、最祖から組んでいって倒せばいいと思ってたんですが、1年間やってみてそれじゃあ通用しないという事が分かりました。打撃で倒せれば楽ですけど、打撃で倒して寝技で極めるというようなスタイルでやりたいと今は思っています」と、スタイルチェンジを図っている。
 ユンもまた、6月から高田道場に住み込みで総合格闘技を一から学んだ。桜庭から寝技を、西島洋介から打撃を教わったという。桜庭戦前のビッグマウスは陰を潜め、すっかり謙虚になってのスターティング・オーバーである。ユンがどんなトレーニングを積んだのか、どこまで成長したのかは全くのシークレット。分かっているのは、桜庭から「“殺す”気持ちでリングに上がらないとダメ」という極意を授けられたという事だ。
 より強く生まれ変わったのは、反骨の柔道王か、それとも韓国の柔道王か?
 青い柔道衣に身を包み、階段を駆け下りて登場したユン。表情はやや緊張気味か。リングに上がると軽く一礼。続いて瀧本が初公開となる白い半袖の道衣を身に纏って現れた。大きく息を吐き、こちらは無表情でリングに歩を進める。リングに上がると、やはり一礼。その間に、ユンは道衣を脱ぎ捨て、ハーフパンツになった!

第5試合1R10分、2・3R5分
3R終了 判定 2-1
8月、ヒョードルがミルコを下し、改めてヒョードル最強が証明されたPRIDEヘビー級。「打倒ヒョードルを果たすのは誰か!?」その可能性を秘めた二人の激突がこの試合だ。
 チーム・クロコップに加入後、PRIDEでは2連勝、噂にたがわぬグラップリングテクニックを見せ付けているヴェウドゥム。しかしトム・エリクソン、ローマン・ゼンツォフがヘビー級トップコンテンダーかと言われれば疑問符がつく。ヴェウドゥムの実力はまだベールに包まれている部分もあるのだ。そして今回の試合でそのベールが剥がされることになるだろう。今日、ヴェウドゥムがリング上で対峙するのはPRIDEヘビー級GPベスト4のハリトーノフだ。
 ヘビー級GPではノゲイラにこそ敗れたものの、その後は再び連勝。特に、UFCのトップコンテンダーで、総合格闘家の中でも屈指のストライカーであるペトロ・ヒーゾをパンチでボコボコにした試合は、改めてハリトーノフ強しを印象付けた。今年8月にはリングスセンターが完成。ハリトーノフ自身もエカテリンブルグ近郊の町に引っ越すなど、練習環境が更に整った。さらに強くなったハリトーノフを見せることが出来るか?
 壮大なテーマに乗って柔術衣に身を包んで花道に現れたヴェウドゥムに対し、ハリトーノフは迷彩の軍服姿。互いのアイデンティティを感じさせるコスチュームでの入場である。

第4試合1R10分、2・3R5分
1R 4分45秒 TKO(サッカーボールキック)
 ミドル級GPではまさかの1回戦KO負け、一夜にしてミドル級トップコンテンダーの座から転げ落ちたジャクソン。今回は約半年ぶりの復帰戦となる。ショーグン戦後、チーム・オーヤマを離れて自身のチームを結成し、柔術・ボクシング・レスリングそれぞれのコーチを招いた。「俺は新しく生まれ変わった」とスターティング・オーバーを誓うジャクソンだが、「あと半年あれば完璧に生まれ変われるんだが…」と一抹の不安もあるようだ。なぜなら、コーチを変えると一時的に力が落ちる事がよくあるからである。
 対する横井もまた、「崖っぷちの心境です」とスターティング・オーバーを胸に期する。「今回、勝てなければもうPRIDEに上がれないだろうし、上がる資格もない」と背水の陣で臨む事を告白し、「もう嫌です。いい加減、勝ちたいです!」と勝利への意欲をむき出しにしていた。
 実はこの両者、同じ年齢である。そういった意味ではまだ充分な可能性を秘めているのだが、ここで勝つと負けるとでは未来が変わってくると言っても過言でないだろう。
 ジャクソンはいつものように雄叫びを上げ、鎖を首から提げての入場。マウスピースを剥き出しにして、鋭い視線でリングを見上げる。一方、前日までモヒカン刈りだった頭をツルツルのスキンヘッドに剃り上げた横井も、厳しい表情でリングイン。両者、リング上で向かい合うと真正面からにらみ合いを展開!

第3試合1R10分、2・3R5分
1R 2分13秒 TKO(スタンドでのパンチ)
 新たなアマチュアトップ選手がPRIDEに来襲!あのドゥイエから一本勝ちし、サンボやレスリングの実績を持つルング。しかも総合格闘技の練習をすでに2年間積んでおり、ただの転向組とは一味違う。さらにトンプソンを「ただの筋肉の塊。向こうがゴング&ラッシュで来ても大丈夫。殴り合いに自信がある」と豪語するこの男。果たしてこの言葉は虚言なのか?それとも真実なのか!?
 試合前のプルプルで人気が爆発したトンプソン。「昔は試合前にアドレナリンが出すぎて自分をコントロールできなかったんだ。でも今は落ち着いて戦えるようになったよ」と、衝撃のプルプル封印宣言!?…かと思いきや、「でもゴングが鳴ったらまたダッシュするだろうね。今までずっとそれでやってきたから」と、ゴング&ラッシュは忘れてはいない。その一方で柔術の練習に力を入れているなど、全体的なスキルアップにも余念がない。来年に予定されるヘビー級GPに是非出てみたいとトンプソン。プルプルからヘビー級トップコンテンダーへの道を駆け上がれ!
 トンプソンは両手を叩いて自らを鼓舞。プルプルこそなかったものの、額がつかんばかりにルングを睨みつけ、いざゴング。

第2試合1R10分、2・3R5分
1R 3分31秒 ヒールホールド
 今年のミドル級GP覇者マウリシオ・ショーグンの兄、ニンジャが燃えている。「弟のショーグンが優勝したのは、とても嬉しかった。感動したよ。弟に先を越されて悔しい? そんな事はないさ」と弟の快挙を素直に喜ぶニンジャだが、その心中は穏やかではないだろう。「今回の試合は自分にとって、凄く大事な試合だと思っている。アグレッシブに前に出て勝つ気持ちを見せたいと思っているよ」と、スターティング・オーバーにかける気持ちは強い。
 一方、初来日のチュンカエフは物静かなアスリートタイプ。それもそのはず、祖国チェチェン共和国の紛争がなければ、フリースタイルレスリングでオリンピックや世界選手権に出場するチャンスがあったトップアスリートなのだ。国を出て、フランスにいる時にゴールデン・グローリーに声を掛けられ、総合へ転向したという。「今まで105kgや110kgの相手とも闘い、勝ってきた」というチュンカエフの得意技はタックル。シュート・ボクセ随一の寝技の使い手、ニンジャを相手にグラウンドで勝負するか?
 ゴールデン・グローリーのTシャツを着て、ゆっくりと入場するチュンカエフ。無表情、静かなる佇まいがかえって不気味だ。自らの頭を数発叩き、気合を入れる。ニンジャはショーグンを背後に従え、気合満点の表情で入場。口を大きく開けて、何事かを叫ぶ。ショーグンは兄の勝利を信じて疑わず、笑顔を浮かべている。真正面から睨みつけるニンジャに、チュンカエフも目を逸らさない。

第1試合1R10分、2・3R5分
1R 1分31秒 TKO(グラウンドでの膝蹴り)
公開練習では「絶対に勝ちたい」という言葉を何度も使った戦闘竜。昨年の10月のマル・”ザ・ツインタイガー”戦のKO勝利以来、1年以上勝ち星から遠ざかっており、「もうこれ以上負けられない」と危機感を持っている。パンチ力とキックへのディフェンスをレベルアップするために、ニコラス・ぺタスの道場でトレーニングを積み、得意の右フックに更なる磨きがかかった。また総合参戦以降続けている肉体改造はさらに進み、腹筋は割れて、胸板はより一層厚くなった。意気込みだけでなく、激しい練習を積んできた証拠だ。確実に生まれ変わった戦闘竜が勝利を手にする事が出来るか!?
「僕は父のことを尊敬している。僕にとってヒーローなんだよ」とは、伝説の魔人を父に持つズールの言葉だ。ヴァ―リ・トゥードという言葉がまだない時代から総合格闘技を戦ってきた父レイ・ズール。そして技術体系もない中で、打撃を中心としたファイトスタイル”アタハカ”を確立した。もちろん息子ズールもそのアタハカの使い手である。血筋に加えて、インパクトあるビジュアル。戦前から注目を集めるズ―ルは試合でもインパクトを残したい。
 白いガウンに身を包んだズールの後ろには父ズールの姿が見える。戦闘竜のセコンドにはニコラス・ぺタス、いつもの四股を踏むパフォーマンスでの入場だ。
大会名称PRIDE.30
開催日2005年10月23日
会 場さいたまスーパーアリーナ