約1年ぶりの再戦。吉田秀彦は「シウバに勝って欲しい。僕が初めて倒す人間になりたい」と希望を込めた予想をする。ヘンダーソンやヒーリングもシウバの勝利を予想し、戦前の予想は無敵の王者シウバが有利だ。ブラジルのいち無名戦士が、PRIDEに出場するチャンスを得て地位も名誉も富みも人気も、全てを手に入れた。その象徴であるベルト…これを失う事は全てが手元から離れていく事を意味する。PRIDEとはギャンブルだ。お互いが持っているものを全て持ち寄り、リングに賭け、勝利したものが全てを持ち去る。
改心した事ばかりが取り上げられるジャクソンだが、現在考えうる最強のチャレンジャーである事は間違いない。シウバ自身も、「ジャクソンが強いライバルである事は認めている」とそれは認める。いつもなら飛び出す「KO宣言」や「ボッコボコ発言」はなぜか今回はしなかったシウバ。そこに、シウバがいかにジャクソンを警戒しているのかを見ることが出来た。
オープニングの全選手入場式は、二人きりでリングに上がった。シウバの肩には黄金のベルトが掛けられ、ジャクソンの首にはロザリオが掛かっている。両手を合わせ、天に向かって指差すジャクソン。この闘いを神に捧げるとでも言うのか。そんなジャクソンに、シウバは獣のような鋭い視線を送り、「覚悟はいいか?」とばかりに指差す。ジャクソンはそれを見て僅かに微笑を浮かべながら、特に何の反応もしない。シウバはずっと三角形に釣り上がった目で、睨み続けていた。
24,082人、超満員の観衆からひと際大きな歓声が沸き起こった。いよいよ、PRIDEミドル級タイトルマッチの開催である。花道に登場したジャクソンはオオオーッと咆哮、何事かを喋りながら歩を進め、もう一度咆哮する。観客とハイタッチを繰り返し、ゆっくりゆっくりと入場。リングに上がると、入場式と同様に天を指差す。続いてシウバは、両手を大きく広げ、貫禄タップリの入場だ。しかし、あろうことかシウバのこの入場中に、ジャクソンはリング上で携帯電話を持って電話を始めたではないか。どこにかけたかは分からないが、おちょくった態度である。シウバはリングに上がる際、勢いあまって階段を踏み外す。そして、両国の国家吹奏が行われ、立会人の高田延彦・統括本部長よりタイトルマッチの認定宣言が行われた。そしてリング中央で激しく睨み合う両雄。いや、睨んでいるのはシウバでジャクソンは見下すような表情だ。二匹の獣が、檻から解き放たれる!