PRIDE無差別級グランプリ2006 開幕戦
2006.05.05 大阪ドーム
PRIDE
第8試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
1R 2分33秒 トライアングルチョーク
 柔道VSボクシング。究極の異種格闘技戦と称される試合は、戦前から西島のボクシンググローブや地下足袋の着用の要求など、明らかにその他の試合とは一線を画す独特の緊張感があふれる試合となった。結果的にボクシンググローブの着用も認められず、西島はシューズを履くことに落ち着いたのだが、こういった試合前の心理戦こそ、まさに“異種格闘技戦”である。
 しかしそんな周りの喧騒はよそに試合前の吉田は「心境はいつもと変わらないですね。平常心です。練習も普通にいつも通りやってきました。ボクシンググローブについても、全く気にしていなかった。さっき言われて“あ、そうなんだ”って思い出したくらい」と至って冷静だった。また西島のパンチをシウバやハントと違い的確だと評価する吉田するものの「自分は前に出ます。下がったら絶対にやられる。ガードを挙げてパンチを打ちに行って前へ出れば、当たってもそう簡単には倒されませんよ」と西島のパンチに対して余裕も見せる。
 対する西島は一連の要求に関して「ボクシンググローブでもオープンフィンガーでも、どちらでもよかった。ボクシンググローブの方がパンチが効くので、出来るならそっちでやりたいと思っただけですから。地下足袋は履きません。ボクシングシューズに改良を加えたものを特注しました。特に理由はないんですが、慣れているのでそっちの方がいいかなと思って」と語り、吉田対策としてユン・ドンシクを相手に道衣対策を積んできたという。いつものように言葉数は少ない西島だが「ボクシングが優れた格闘技である事を証明したいです」と話し、この異種格闘技戦に向けて、ジャンルを背負っている人間の決意を感じさせた。
 その決意を感じさせるように西島は真っ白なガウンに真っ白なボクシングパンツで入場。吉田はいつも通り柔道衣を着用としてのリングインとなった。

第7試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
1R 2分17秒 アームバー
長年の悩みの種だった両ヒジの古傷の手術に踏み切り、不安要素を一切排除して今回のGPに臨むノゲイラ。今年こそヒョードルを倒し、世界最強の座に返り咲くつもりだ。カード発表は一番最後になってしまったが、「GPに出ると確信していたのでいつも通りの練習をしてきた。相手が決まらなくても特に影響はない」と動揺もない。日本のファンが“ノゲイラ圧倒的有利”を予想していると聞くと、「私もそう思うよ」と当然だと言わんばかり。
 さらには、得意の寝技ではなく打撃での勝利を予告。「私が狙っているのは、打撃で試合を終わらせる事なんだ。ズールは重いので、テイクダウンするのは困難だと思う。もちろん寝技の展開になるのも充分にあり得るが、その前に必ず打撃戦があるからね。私も打撃中心に闘うつもりだし、寝技になったらなったで構わない」とした。
 大晦日ではヒョードルに初敗北を味わわされ、涙を流したというズールだが、今回も自信満々でPRIDEのリングに帰って来た。「右ストレートかヒザ蹴りでKOしたい」と語り、この点ではノゲイラの考えと合致している事からスタンドでの闘いとなりそうだ。そうなれば、ズールの想定外のパワーを誇るパンチが当たる可能性も出て来るだろう。「今日は負けても明日は勝つ。人生とはそういうものだと思う」と、とても27歳とは思えないセリフを吐くズール。その“明日”は今日、現実のものとなるのだろうか?
 ズールは歯を剥き出して吠える“野獣フェイス”で登場、両手を大きく広げて、雄叫びを挙げながら足早にリングへ向かう。客席に何度も拳を突き上げて自分を鼓舞する。今年6月に30歳を迎えるノゲイラ、20代最後のリングへ。炎をあしらったロングガウンに身を包み、シャドーボクシングをしながらの入場だ。

第6試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
1R 1分10秒 TKO(グラウンドでのパンチ)
 リアルプロレスラー美濃輪育久が迎えた大一番、5年前から熱望していたミルコ・クロコップとの一戦を前に美濃輪は「ミルコのイメージはバッファローマン。左ハイキックはロングホーンに見えます。バッファローマンは1千万パワーなので、僕がキン肉マンとして95万パワー。どうやって95万パワーで1千万パワーに勝てるのか。マンガの中で描けているのは、想像では勝ってるんです。僕の考えでは想像で勝てれば現実でも出来る」と、美濃輪流の言葉でミルコ攻略について語る。公開練習で行ったキャッチボール練習も試合直前まで継続し「打倒ミルコをより一層リアルに感じる事が出来ました」と確実に成果は出ているようだ。
 無差別級GPの目標はもちろん優勝だと語る美濃輪。一般的には不可能と考えられるようなことでも、リアルプロレスラーの前ではすべてが“リアル”なものとなる。ミルコ戦のテーマを“ヘヴン革命”と定め、「革命の一歩に過ぎません。一歩というより欠片です。“6”が“9”になるのが革命。僕が6でミルコが9だったら、勝つ事によって逆の立場で僕が9の大きさになるというイメージが革命です。どういう事かは試合でお見せします」と語った。
 一部ではマーク・ハント戦での試合内容から、燃え尽き症候群になっているのではないかと言われていたミルコだが、これまでほとんど姿を見せることのなかった大会の前日会見に出席。「無差別級のベルトに挑戦できる事でワクワクしている。他の選手もそうだと思う。美濃輪もワクワクしていると思う。美濃輪の事はリスペクトしているよ」と語るだけに留まったが、試合前に公の場に現れるということは、それだけ今回のGPにかける想いが強いということだろう。榊原代表の期待する“闘いに飢えたミルコ”の姿が見られそうだ。
 先に入場となった美濃輪は手でリズムを取りながら天に拳を突き上げる。しかしいつもは颯爽と駆け抜ける花道を、今夜は一歩一歩かみ締めるようにゆっくりと歩いていった。ミルコは入場曲を長年愛用していた「Wild Boys」へ戻し、ハント戦で使用したシューズも脱ぎ捨てた。両者の体重差は約20kg強、果たして美濃輪の云う“火事場のクソ力”は炸裂するのか!?

第5試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
1R 8分25秒 KO(スタンドでのパンチ)
いよいよ3年ぶりのPRIDE復帰戦を行う藤田。榊原代表も「世界を獲りにいける可能性を持った選手」として、前日の記者会見でも注目試合として真っ先にその名前を挙げた。急速に進化を遂げるPRIDEマットのレベルに適応できるのか?という疑問が沸き上がっているのも事実だが、そんな声を藤田は「僕だって3年間なにもしていなかったわけじゃない」と一笑に附する。今大会の前にはマルコ・ファスの道場で練習を積み、「練習というよりも修行だった」という厳しい特訓を積んできたという。
 トンプソンもこの大一番に気合は充分。「藤田の試合は彼がケン・シャムロックと試合をした頃からずっと見ていた。素晴らしい選手だと当時から尊敬していたんだ」と、リスペクトしていた選手との対戦に胸を躍らせている。しかし、トンプソンは物怖じなどしない。「そんな藤田の心を、僕が折りたい。彼を倒すためにはそれしか方法がないからね。体にダメージを与えると同時に、精神にも打撃を与える試合をする。だから、厳しい試合になるだろう。でも、僕は必ず藤田の心を折ってみせる! 勝ってみせる!」と激闘を宣言した。
 両手をバシバシと叩き、すでにプルプルと震えながら花道を歩き出すトンプソン。客席に向かって何度もガッツポーズを繰り返し、カメラに向かってプルプル。小刻みに振るえながらリングイン。一方の藤田は固く目を瞑って登場、目を見開くと同時に口を大きく開けて雄叫びを挙げる! 入場テーマ曲はジミー・ヘンドリックスの『パープル・ヘイズ』。リングインすると両拳を突き上げて、“帰って来たぞ!”とアピールだ。トンプソンはコールを浴びてもプルプルと震えだし、向かい合うと藤田を正面から睨みつける。
 藤田が3年ぶりにPRIDEマットで勝利の凱歌を挙げるのか、それともトンプソンが藤田を踏み台にして引導を渡すのか? 日・英野獣対決、いよいよゴング!

第4試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
2R 1分57秒 V1アームロック
 ファン・関係者が裏メインとプッシュしているのが、このジョシュVSアレキサンダーの一戦である。しかしこの一戦が今後を占う大勝負だということは闘う二人が誰よりも理解している。
 ジョシュは“地獄の練習”と形容するほどの激しいトレーニングを積み、服の上からでも分かるほどシェイプされた肉体に仕上げてきた。「アレキサンダーは侍のような、死ぬ覚悟でやっているように見えるが、それは僕も同じ。僕は勝敗に拘ってプレッシャーを跳ね返し、なおかついい試合をして勝つ自信がある」と静かに闘志を燃やす。その一方で試合前には「アレキサンダーがデンジャラスな選手であることは間違いない。彼は体格も大きいし、パンチ力もある。でもね、彼は僕が勝ったセーム・シュルトよりも立ち技が上手いのかい? レスリングの力がランディ・クートゥアーよりも上かい? 僕はK-1選手ともスパーリングをやっているし、柔術の黒帯とも練習をしている。アレキサンダーが全てにおいて彼ら以上のものを持っているとは思わない」と確固たる勝利への自信をのぞかせた。
 対するアレキサンダーもヒョードル、ゼンツォフ、ミチコフ・コーチらと共にキサボツクでキャンプを張った。「試合に勝つために様々な練習をして、内容の濃い厳しいキャンプだったよ。兄のヒョードルは手が使えないので一緒にスパーリングは出来なかったんだが、一緒にジョギングをしたり、アドバイスをしてもらった」と、こちらも“地獄の練習”を積んできた様子。ロシア人選手らしく、「ジョシュはパワフルでいい選手だと思う。共に素晴らしい試合をファンに見せられるだろうね。彼の事はかなり前から知っていたよ。経験豊富で相手によって戦略を変える事が出来る、素晴らしい相手だからジョシュと闘える事を嬉しく思う」とジョシュを称えるアレキサンダー。しかし最後に「どっちが強いのかリング上で明らかにしたい」という言葉も忘れなかった。
 これまでヒョードルと同じ入場曲を使用していたアレキサンダーだが、今回からは自分のオリジナルの曲を選んだ。セコンドとしてヒョードルがアレキサンダーの後に続くものの、新しい壮大なテーマ曲に乗って花道を歩くアレキサンダーの姿はまるで兄への挑戦に向けて突き進んでいるようにも思える。一方、ジョシュはいつも通り「北斗の拳」のOP曲で花道に登場。パンクラスの×の字マークをモチーフにした「BARNETT」の文字が入ったロゴ入りのパーカーを身にまとい、こちらはプロレスラーとしての誇りを胸にリングへと上がる。リングアナウンサーから読み上げられた二人の体重は120kg弱。適度に絞られ、血色のいい二人の肉体がコンディションの良さと、これから始まる激闘を予感させた。

第3試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
2R 4分15秒 TKO(スタンドでのパンチ)
今回のGPに引退を賭けて臨む高阪。“世界のTK”と呼ばれ、総合格闘技黎明期から日本を背負って闘ってきた男が、格闘技人生の全てを賭けて世界最強の座に挑む。試合二日前、高阪は前回のマリオ戦とはうって変わり、リラックスした表情。「やれるだけの事はやった。自分にあそこまで付き合ってくれた仲間に感謝している」と、やり残した事はないという自信がそうさせるのだろう。
 開幕戦ではいきなり最強王者ヒョードルとの対戦を強く望んでいた高阪だが、ヒョードルは2回戦から出場のシード扱いとなったため、“打倒ヒョードルに最も近い男”と評価が高まっているハントに決定。しかし、「相手は誰になっても関係ない。自分の闘いをするだけ」と高阪。「自分自身が信用できるまで追い込んだし、やってこれたので自分を信じます」後はリングで全てをぶつけるのみ。
 一方のハントも飄々とした調子で、「自分自身のために、自分の練習をしているから相手の事はたいした問題じゃない」と偶然にも高阪と同じ心境を語った。あまり高阪の試合を見た事がないというハントだが、何かを感じているようだ。「俺と彼との試合は凄い試合になると思う。エキサイティングな試合になる事は間違いないな。試合が終わった後、高阪はバーベキューになっているだろう(笑)」と、名勝負製造機としての勘が働いている。
 まずはハントが入場、右手を大きく上げて歓声に応え、うつむき加減にリング上へ歩を進める。高阪は長年愛用しているいつものテーマ曲で登場。拳を合わせ、祈りを捧げるようにし、カッと目を見開き凄まじい形相でリングへ向かった。リング下でも手を合わせて祈りを捧げ、リングイン! ハントを真正面から睨みつける。

第2試合 PRIDE無差別級グランプリ2006 1回戦1R10分、2・3R5分
2R 3分43秒 チキンウィングアームロック
“ダッチ・サイクロン”の異名を持つオーフレイムが無差別級GPに旋風を巻き起こす。前回の2・26『PRIDE.31』のハリトーノフ戦では戦前の予想を覆し、TKO勝ちという見事な勝利。卓越した打撃センスと必殺のギロチンチョークは相手をとことん追い詰める。「今までよりもチャンピオンに近づいている自分を感じるよ」戦前にそう語ったオーフレイムの目にはGPの頂点しか見えていない。
 一方のヴェウドゥムは、柔術世界王者の実績を持つ寝技の達人だ。数々の柔術の大会を制した寝技テクニックに一切の隙はない。ここ最近の寝技急成長のオーフレイムの実力を「青帯」程度と評価し、格下扱いした。
 ガンズ&ローゼスの曲が流れる中、赤い柔術衣に身を包んだヴェウドゥムが先に登場。険しい表情を見せている。そして、アリスターが紺色のフード姿で姿を現した。そしてリングインするとシャドーを見せる。

第1試合1R10分、2・3R5分
1R 4分55秒 KO(スタンドでのパンチ)
 エメリヤーエンコ・ヒョードルの所属するレッド・デビルの新鋭ゼンツォフがPRIDE3戦目を迎える。前回の試合では、UFCヘビー級トップファイターとして君臨するペドロ・ヒーゾから戦慄の左フック一撃でKO勝利を収めている。今回ゼンツォフはトーナメントではなくスペシャルマッチに登場するも、来日前には山篭りを行い戦闘態勢は十分だ。
 対するアイブルは『PRIDE 武士道 -其の六-』以来の登場となる。PRIDEでは5連敗と戦績には恵まれていないが、“ハリケーン”の異名を持つとおり、回転の速い打撃ラッシュは関係者から評価は高い。ゼンツォフの一撃かアイブルのラッシュか、一瞬も目が離せない。
 黒いTシャツを着たゼンツォフが先に登場。姿を現すと胸をポンポンと叩き、気合をいれて無表情でリングインする。続いて、アイブルも黒いTシャツ姿で登場。肩を大きく揺らしながら自信溢れる表情で堂々と花道を歩く。コールされる際には毎度おなじみ、片足をセカンドロープに足をかけ、アイブルは相手を睨みつける。
大会名称PRIDE無差別級グランプリ2006 開幕戦
開催日2006年05月05日
会 場大阪ドーム